2009年4月6日月曜日

鳥取を愛したベネット父子 (24)

スタンレーが、戦争中にどんな手紙を妻に書き送っていたのか、紹介することは難しい。直接『戦場から送り続けた手紙―ある米海軍士官の太平洋戦争―』(『戦場からの手紙』)を読んでいただくのがいいわけだが、ここでは、わたしが興味を抱いたり、ぜひ紹介したいと思ったことなどを、引用を主にしてお伝えしたい。

太平洋戦争当時、アメリカ人が日本人に対して抱いていた偏見、人種差別のことについて以前のブログでふれた(1月23日付の第13回のブログ)。このことについて、もう一度書いておきたい。

このことについて、加藤恭子は『スタンレー・ベネットの生涯』のなかでも書いているが、『戦場からの手紙』のなかでも触れている。
 手紙の中でスタンレーが〝ジャプス〟を使うのは、日本軍に対してだけであり、日本人について語るときには、〝ジャパニーズ〟に戻る。つまり、スタンレーの頭の中には、軍国主義者〝ジャプス〟が〝ジャパニーズ〟を間違った方向へ導く、それをどうにかするために何か自分にできることはないか、何かをしなければならない、という考えがあったのではないだろうか。ただ、実際に戦場に出て行ったのは、鳥取での幼友だちのような、ふつうの日本人であった。その辺りの矛盾も、スタンレーは意識していたに違いない。(p.14)
また、脇道にそれるが、過日、書斎の片付けをしていた折り、古い切り抜きの束のなかにこんなものがあった。「日本経済新聞」1988年8月18日号(p.30)からの切り抜きである。
【ロンドン十七日=土屋記者】日本人に対する差別用語と言われてきた「ジャップ(JAP)が欧州でファッション・ブランドとして登場、差別用語を脱皮したと話題を呼んでいる。
 採用したのは高田賢三のファッションブテック「ケンゾー(KENZO)」で、同氏が欧州に登場した一九七〇年代初めにマスコミがそのファッションを「ジャングル・ジャップ」と呼んだのが今回のブランド名採用の由来と説明している。
 昨冬から出荷したジャップ・ブランドは売れ行き好調で、特に反発はない様子。高田氏はもともと人気の高いデザイナーだが、同氏が日本人であることを強調するブランド名だったことも、若者の間に広がる「日本へのあこがれ」を刺激したと指摘する人もいる。
 差別用語使用には慎重な英国放送協会(BBC)によれば、ニュースなど一般的な放送では「ジャップ」を使用しないのが原則だが、劇やバラエティー番組などはこの限りではないという。
 同協会の広報担当ギョーンジョンズ氏は「戦後四十年以上が過ぎ差別用語としての意識は薄れた。英国人のことを『ブリッツ(BRITS)』と呼ぶように、ジャップもむしろ親しみのある呼び方に変わってきている」と指摘している。

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