2010年12月26日日曜日

当世キーワード(20101226)



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NHKラジオ第1 亀井肇さんの当世キーワードより。

1)バイク コンシャス ライフ
これまでのように、ちょっとしたお出かけの時にも自動車を利用するというモーターライフではなくて、日常生活の中に自転車を取り入れて楽しむ生活をいう。
自転車は気楽に乗ることができて、自動車のように排気ガスを出すこともないから、環境に対しても寄与している。
モーターライフは出発点から目的地まで出来るだけ早く到達しようという意識が働き、寄り道を避けようとする。一方、バイク コンシャス ライフの場合は、自分の足による動力でゆっくりと行動し、まわりの風景を見ながらの移動となるから、季節の変化などを意識することによって考えなどをまとめることもできる。

2)親手当
日本と同じように少子化に悩んでいるドイツ政府が2007年から導入している[育児休暇をとる親に対して給与の67パーセントを保証する]制度。
最低は300ユーロ、約34,000円、上限は1800ユーロ、約207,000円であるが、支給期間は片方の親だけが育児休暇をとった場合は12ヶ月、両親がとる場合は夫婦間の配分は自由で、二人合計で14ヶ月となっている。
妻より収入の多い夫が妻とともに育児休暇をとれば、支給額も休暇期間も増える仕組みになっている。ドイツでは、父親の育児参加があってこそ、子供を産み育てやすい社会ができるとして、両親ともに育児休暇をとれば支給が増えるような制度設計になっている。

3)ビブリオ バトル
ビブリオとはビブリオグラフィ(bibliography)の略で、書誌学、文献目録、参考文献を意味する。そこから書物の意味合いにも使われている。
バトルは合戦を意味して、直訳すればビブリオ・バトルは書物合戦となるが、これを「知的書評合戦」というふうに訳してもよかろう。

2007年に立命館大学情報理工学部の谷口忠大 (たにぐち・ただひろ)准教授が京都大学時代に考案した勉強会形式の「自分のお気に入り紹介の」書評合戦のことをいう。
その後、大阪、滋賀、名古屋、東京など全国に広がって行われているようだが、大学生がお気に入りの本を持ち寄って内容を5分間ていどで紹介し合い、「どの本が一番読みたくなったか」という聴衆の評価を競い合うコンテストも行えるようになっている。
http://www.bibliobattle.jp/
http://www.bibliobattle.jp/aboutus

4)足元レイアード
靴下やタイツ、レッグウォーマーなどの重ね履きを指してこう呼んでいる。
ハイソックスを二枚重ねにしたり、タイツに手編み風レッグウォーマーなどを重ねたり、靴と一体的に見せられるブーツカバーを組み合わせたりなど、様々である。足元にボリューム感を出すことで、相対的に足が細く見える効果があると言われている。また、お金をかけずにヴァリエーションを楽しむことができる。

靴専門店では、靴自体が重ね履き風になった商品を売りだしたり、足首から甲を隠すファーのアクセサリーがセットになったパンプスとか、一見すると膝上だけのソックスとロング・ブーツを重ねたように見えるデザインの商品なども売り出しているようだ。
http://202.143.67.83/p/r/pd_p/2226279/

5)コロネ ソフト
巻き貝状のパンのコロネの中にソフトクリームを入れたもの。ソフトコロネとかアイスコロネットともいうが、コロネとは楽器のコルネットと語源は同じで、イタリヤ語で角笛、ホルンを意味している。
コルネが本来の呼び名だが、日本に入ってきたときに、コロネと名づけられたらしい。
巻き貝状のパンにチョコレートを入れたチョココロネがポピュラーだが、ふわふわのコロネをあつあつに焼きあげて、その中に冷たいソフトクリームをたっぷりと詰め込んでいるのがコロネット。
熱いと冷たいが同時に味わえる今までにない食感で、東京・原宿の女の子にも大人気らしい。
http://r.tabelog.com/fukuoka/A4001/A400103/40023429/dtlphotolst/P3511874/

2010年12月20日月曜日

当世キーワード(20101219)

NHKラジオ第1 新語アナリスト、亀井肇さんの放送より。

1)ワンデー・インターンシップ
一日だけのインターンシップということ。
インターンシップとは、大学3年生や4年生が夏休み中に仕事の内容や職場の雰囲気などを知るために、一週間ほど会社に通って社員たちと一緒に働くことを意味していて、90年代後半から日本でも本格的に行われるようになってきている。
本来は一週間ほど通わなければ会社の仕事の内容などは理解出来ないが、それを一日に限定することから、ワンデーといわれる。会社にとってみると、担当部署が多忙で一週間も学生に付き合ってはいられない、より多くの学生を試してみたい、といった事情があるようだ。
学生にとっては、ワンデーのインターンシップに参加してみても、広報担当者が会社の歴史や業務を説明し、職場見学に付き合うだけで、現場の様子を知ることができない、という不満があるようだ。
大学の就職担当者は、短期でも刺激を受ける学生にはメリットはあるが、やはり一日では不十分ではないかと述べている。

2)ブック・ツーリズム
本の街であることを売り物として観光客を集める戦略がブック・ツーリズムだ。2006年に長野県伊那市と合併した高遠町が目指しているもの。
今年9月には2回目となる高遠ブック・フェスティバルが開催されて、6日間の開催期間中に数千人の観光客を集めている。
高遠町の目抜き通りの各所に古書棚が置かれて空き店舗がにわか古書店とかブック・カフェになり、商店街の店先や図書館といったさまざまな会場で、文筆家によるトークショウとか、製本ワークショップなど、約50のイベントが催された。
高遠町は本を仕掛け材料として観光客を集めることを目指しているようだ。
http://takatobookfestival.org/

3)夏秋(かしゅう)いちご
普通のいちごは春が収穫期だが、夏や秋に収穫できるいちごをいう。
これまで国内では夏や秋にいちごの収穫はできなかったが、ケーキなどの需要は一年中あって、デコレーションのいちごはアメリカからの輸入がほとんどだった。
需要はあるけれども国内で生産できないのは困ったものだとして、民間企業や各地の農業試験場などで、国内栽培に適した新しい品種の開発や栽培技術の研究が行われていた。
そうした国内での品種改良がおこなわれて、北海道や東北などの寒冷地で夏秋いちごの栽培が行われているようだ。
http://narc.naro.affrc.go.jp/chousei/shiryou/kankou/keieit/img/239/p08.pdf

4)パワー・スポット
日本語に直すと、聖地とか霊場のこと。
その場所に行くことによって、それまでに感じなかった不思議な力を感じ、その力によって元気になったり、健康になったりするような気がするといわれる場所がパワー・スポットだ。いわゆる自然崇拝や山岳信仰といわれる場所で、大きな岩や湧き水、滝、洞穴などがあることも多い。
最近では神社などもパワー・スポットといわれることが多いが、昔から神聖な場所と見なされ、神霊が住む場所と信じられていることが多いから、と言われている。
世界では、ペルーのマチュピチュ、北米のセドナとシャスタ山、ヒマラヤ、バリ島、ピラミッド、オーストラリアの中心のウルルなどがあげられている。
http://www.myspiritual.jp/2010/02/post-1100.html
http://plaza.rakuten.co.jp/erilovesedona/diary/201008260000/
http://www.google.co.jp/images?q=%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%AB&um=1&ie=UTF-8&source=univ&ei=MsMNTar0LZGkugOM_sGIDg&sa=X&oi=image_result_group&ct=title&resnum=7&ved=0CGgQsAQwBg&biw=1001&bih=601

http://gauna.clipp.in/




2010年12月12日日曜日

当世キーワード(20101212)

NHKラジオ第1当世キーワード 新語アナリスト・亀井肇さんによる。

1)工業ガール
工業高校に進学して、そこでさまざまな経験をしながら育っていく主人公の女子学生を描いたマンガから出てきた名称が工業ガール。
モノづくりの現場を描いたマンガ作品が続々と登場しているが、少女マンガにも工業系として登場してきている。実習室のオイル臭さやハンダ付けの機械作業などもマンガの中に登場してくる。

2)無し婚カップル
結婚式を挙げないままの夫婦をいう。
結婚式を断念した理由で最も多いのは「妊娠していた」であるが、次いで「お金がなかった」「長い間同居していた」などの理由による。
挙式しないまま結婚届を提出して日常生活を送っているが、そうした夫婦にアンケート調査をしてみると、約80パーセントが披露宴のようなイベントを今後してみたい、という希望を述べているそうだ。

3)週末海外旅行
羽田空港において国際定期便の本格的運行が22年ぶりに再開されて、会社を休むことなく金曜日の夜に海外のリゾート地などに出発し、月曜日の早朝に帰国して出社するような旅行がそう呼ばれるようになってきている。
これまで海外旅行に出発するためには、関東周辺では、成田空港しかなかったため、金曜の夜出発しようとすると金曜の午後に半休を取らねばならなかった。また、月曜日も到着が午前になってしまうので、都心にある会社に着くのは月曜の午後ということも多かった。
しかし、羽田空港から出発するようになると、台湾やシンガポールなどへ金曜の夜にゆっくりと出発することができる。羽田は国際線が48路線あり、地方空港からの乗り継ぎも便利になっている。
それで、近くのホテルは深夜・早朝の出発前や到着後に休憩できるように、宿泊せずに数時間単位で部屋を使えるサービスも始めているようだ。

4)馬鹿(≠バカ、=ウマカ)ステーキ
北海道産の馬の肉とエゾシカの肉を焼いたもので、帯広のイタリア店が売りだしている。
エゾシカはエゾオオカミなどの天敵がいなくなって爆発的に増えてきている。そのために、牧草地の草を喰い荒らしたり、木の樹皮をほとんど剥がして食い尽くしたり、また交通事故や鉄道事故なども引き起こすほど、社会問題にもなっている。
それで農作物や森林に被害をもたらし、このままエゾシカを放置しておくと、森林破壊など環境を変えてしまうかもしれないと、作家のC.W.ニコルさんは警告している。
そのため、輸入肉とか魚にかえて、害獣として駆除するシカの肉を食べれば、地球の自然環境への負荷を少しだけやわらげることができる、と『鹿肉食のすすめ―日本人は鹿肉で救われる』という本の中でニコルさんは述べている。

5)やわらか病人食
味も見た目も焼き魚やすき焼きだが、それをひとくち切り取って口に入れると、マシュマロのようにとけて、病気の後遺症や高齢のため普通食を取れない人もすんなりと食べることができる食品をいう。
舌の上でとろけるマシュマロのように柔らかくなるのは、細胞を切り離す酵素によるものなのだが、酵素を加えることにより、通常の食事の1000分の1に柔らかくなっている。
食材ごとに最適の酵素を選んで、圧力を変えながら注入する技術を開発し、形がくずれないギリギリの柔らかさで、食感も残している。酵素を加えても栄養はほぼ変わらないと言われていて、筑前煮は100分の1から1000分の1に柔らかくなっている。
http://www.amazon.co.jp/dp/4915959848?tag=rambler-22&camp=1027&creative=7407&linkCode=as4&creativeASIN=4915959848&adid=0KTH9GR06T57KJE7D75K&

2010年12月6日月曜日

当世キーワード(20101205)



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NHKラジオ第1、新語アナリスト、亀井肇さんによる。

1)リケジョ
「理系の女」つまり「理工系学部女子学生」を略したもの。
理工系学部への入学を希望する女子学生は少なく、各大学が女子学生獲得のために、女子高生だけの大学説明会を開いたり、キャンパス体験を催したりして、女子学生たちが理工系学部に抱いているイメージを変えようと努力している。
理工系学部に女子学生を獲得することに各大学が躍起になっているのは、少子化に伴う18歳人口の減少で、男子学生だけでは集まりにくくなると予想しているからだ。
「リケジョ」の数が少ないのは、中・高での教え方に問題があるのではないか、と津田女子大の女性研究者支援センターは指摘している。卒業後の環境も改善する必要があるとの声もある。

2)名(メイ)チャリ
名古屋市が社会実験を行っている自転車の共同利用の名称。
自転車の共同利用とは、コミュニティーサイクルと呼ばれているが、2007年にフランスのパリで始められ、先進各国でその試みが行われるようになってきている。

名古屋市の社会実験のための対象地域は、名古屋駅から繁華街の栄恵地区まで東西2.5キロ、南北1.5キロに、300台の自転車が30ヵ所の専用駐輪場に配備され、利用者はどの駐輪場でも自由に貸し出しや返却することができる。
利用者は1ヵ月1,000円で会員登録し、ICカードの会員証を活用して共同利用することができる。30分以内は無料なので、短時間の利用をうながすことができる。

3)スヌード
筒状のネック・ウォーマーが「スヌード」と呼ばれている。ストールや
マフラーは一枚の布で出来ていて、それを首に巻く形式だが、この場合は
端がつながっていて、輪のようになっている。頭からかぶるだけで、首の
周りの暖かさを保つことができる。
もともとは、イギリスやスコットランドで女性が頭に巻くヘア・バンドを
指していたが、首周りを包む防寒用にも使われるようになってきている。

4)エシカル消費
エシカルとは倫理的、道徳的の意味の英語だが、もともとは地球環境に配慮するというエコロジーを起点として想起されたもの。それに社会や人間の問題も視野にいれて、そうしたことに配慮した消費をしようという意味。

つまりエシカル消費とは、環境破壊を引き起こしている企業とか、不当な児童労働をさせている企業、人権侵害などを引き起こしている企業が販売している商品は購入しない、逆に伝統的な技を次の世代に残そうとしていたり、職人が技で作り上げているような商品は積極的に購入することによって、そういう商品に対する支援を少しでもしていこうという意味合いをもっている。

5)方言もえ(方言萌え)
方言をしゃべる女性にいとおしさを感じることを「方言もえ」という。
アニメの可愛らしい主人公の姿に愛情に似た感情を持つことを「もえ」という風に表現するが、愛情の対象を方言に向けているわけだ。
中高年では方言を恥ずかしいと感じる人が多かったが、標準語が全国的にゆきわたる状況で育った若者たちはむしろ方言に対して、いとおしい感情をもつようになっている。

6)ガラケー
「ガラパゴス携帯」の略。
日本国内だけで、世界の流れをよそに、お財布ケータイとか、着メロ、着歌、カメラなど独自の道を歩んでいる携帯電話が、ガラパゴス諸島の生物が独自の進化をしていることに似ていることから、それにたとえたもの。

2010年12月3日金曜日

蔵書を増やさず減らすには(4)

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鳥取市にもかつては古書店(古本屋と言う方がいいな)があったが現在はない。全くないわけではないが、古書についての知識を持った主人が店の奥に座っているような「古本屋」は、なくなってしまった。

ところが新しい「古本屋」が全国的に生まれてきているのだ。昨年の11月に、こんな新書が出版された。
南陀楼綾繁『一箱古本市の歩きかた』光文社新書→http://gauna.clipp.in/
著者のペンネームは「なんだろうあやしげ→何だろう? 怪しげ」本名は、河上進。
この本の第二部 日本全国「ブックイベント」ガイド の中に米子市の例が取り上げられているが、その写真を見ていただけば一目瞭然だろう。

http://yhitohako.exblog.jp/

鳥取県は一番小さな県だが東・中・西の三地域に分けられていて、住民の気質を大雑把に言えば、米子を中心とする西部の住民は積極性があり、県庁所在地の東部の住民は消極的で「煮えたら喰おう」の連中が多い、と言われてきている。
この本のなかで(P.174)紹介されている今井書店本店(永井信和社長)は、「本の学校・大山(だいせん)緑陰シンポジウム」で全国に広く名前を知られているが、本店の経営そのものもユニークなもので、今年七月のNHKテレビ総合の「ルソンの壺」でも詳しく紹介された。
同じページで紹介されている鳥取市の定有堂書店は大型店ではないが、ユニークな文化活動も行っている。店主の奈良敏行さんは鳥取の出身ではない。同店のホームページをご覧になれば、その一端がお分かりいただけよう。

南陀楼綾繁さんも寄稿している。
    (http://homepage2.nifty.com/teiyu/journal/nannda_032.html

今年は我が国でも電子書籍元年を迎えたといっていいが、今日紹介したような活動は、今後も続いていくべきだ。