2010年12月26日日曜日

当世キーワード(20101226)



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NHKラジオ第1 亀井肇さんの当世キーワードより。

1)バイク コンシャス ライフ
これまでのように、ちょっとしたお出かけの時にも自動車を利用するというモーターライフではなくて、日常生活の中に自転車を取り入れて楽しむ生活をいう。
自転車は気楽に乗ることができて、自動車のように排気ガスを出すこともないから、環境に対しても寄与している。
モーターライフは出発点から目的地まで出来るだけ早く到達しようという意識が働き、寄り道を避けようとする。一方、バイク コンシャス ライフの場合は、自分の足による動力でゆっくりと行動し、まわりの風景を見ながらの移動となるから、季節の変化などを意識することによって考えなどをまとめることもできる。

2)親手当
日本と同じように少子化に悩んでいるドイツ政府が2007年から導入している[育児休暇をとる親に対して給与の67パーセントを保証する]制度。
最低は300ユーロ、約34,000円、上限は1800ユーロ、約207,000円であるが、支給期間は片方の親だけが育児休暇をとった場合は12ヶ月、両親がとる場合は夫婦間の配分は自由で、二人合計で14ヶ月となっている。
妻より収入の多い夫が妻とともに育児休暇をとれば、支給額も休暇期間も増える仕組みになっている。ドイツでは、父親の育児参加があってこそ、子供を産み育てやすい社会ができるとして、両親ともに育児休暇をとれば支給が増えるような制度設計になっている。

3)ビブリオ バトル
ビブリオとはビブリオグラフィ(bibliography)の略で、書誌学、文献目録、参考文献を意味する。そこから書物の意味合いにも使われている。
バトルは合戦を意味して、直訳すればビブリオ・バトルは書物合戦となるが、これを「知的書評合戦」というふうに訳してもよかろう。

2007年に立命館大学情報理工学部の谷口忠大 (たにぐち・ただひろ)准教授が京都大学時代に考案した勉強会形式の「自分のお気に入り紹介の」書評合戦のことをいう。
その後、大阪、滋賀、名古屋、東京など全国に広がって行われているようだが、大学生がお気に入りの本を持ち寄って内容を5分間ていどで紹介し合い、「どの本が一番読みたくなったか」という聴衆の評価を競い合うコンテストも行えるようになっている。
http://www.bibliobattle.jp/
http://www.bibliobattle.jp/aboutus

4)足元レイアード
靴下やタイツ、レッグウォーマーなどの重ね履きを指してこう呼んでいる。
ハイソックスを二枚重ねにしたり、タイツに手編み風レッグウォーマーなどを重ねたり、靴と一体的に見せられるブーツカバーを組み合わせたりなど、様々である。足元にボリューム感を出すことで、相対的に足が細く見える効果があると言われている。また、お金をかけずにヴァリエーションを楽しむことができる。

靴専門店では、靴自体が重ね履き風になった商品を売りだしたり、足首から甲を隠すファーのアクセサリーがセットになったパンプスとか、一見すると膝上だけのソックスとロング・ブーツを重ねたように見えるデザインの商品なども売り出しているようだ。
http://202.143.67.83/p/r/pd_p/2226279/

5)コロネ ソフト
巻き貝状のパンのコロネの中にソフトクリームを入れたもの。ソフトコロネとかアイスコロネットともいうが、コロネとは楽器のコルネットと語源は同じで、イタリヤ語で角笛、ホルンを意味している。
コルネが本来の呼び名だが、日本に入ってきたときに、コロネと名づけられたらしい。
巻き貝状のパンにチョコレートを入れたチョココロネがポピュラーだが、ふわふわのコロネをあつあつに焼きあげて、その中に冷たいソフトクリームをたっぷりと詰め込んでいるのがコロネット。
熱いと冷たいが同時に味わえる今までにない食感で、東京・原宿の女の子にも大人気らしい。
http://r.tabelog.com/fukuoka/A4001/A400103/40023429/dtlphotolst/P3511874/

2010年12月20日月曜日

当世キーワード(20101219)

NHKラジオ第1 新語アナリスト、亀井肇さんの放送より。

1)ワンデー・インターンシップ
一日だけのインターンシップということ。
インターンシップとは、大学3年生や4年生が夏休み中に仕事の内容や職場の雰囲気などを知るために、一週間ほど会社に通って社員たちと一緒に働くことを意味していて、90年代後半から日本でも本格的に行われるようになってきている。
本来は一週間ほど通わなければ会社の仕事の内容などは理解出来ないが、それを一日に限定することから、ワンデーといわれる。会社にとってみると、担当部署が多忙で一週間も学生に付き合ってはいられない、より多くの学生を試してみたい、といった事情があるようだ。
学生にとっては、ワンデーのインターンシップに参加してみても、広報担当者が会社の歴史や業務を説明し、職場見学に付き合うだけで、現場の様子を知ることができない、という不満があるようだ。
大学の就職担当者は、短期でも刺激を受ける学生にはメリットはあるが、やはり一日では不十分ではないかと述べている。

2)ブック・ツーリズム
本の街であることを売り物として観光客を集める戦略がブック・ツーリズムだ。2006年に長野県伊那市と合併した高遠町が目指しているもの。
今年9月には2回目となる高遠ブック・フェスティバルが開催されて、6日間の開催期間中に数千人の観光客を集めている。
高遠町の目抜き通りの各所に古書棚が置かれて空き店舗がにわか古書店とかブック・カフェになり、商店街の店先や図書館といったさまざまな会場で、文筆家によるトークショウとか、製本ワークショップなど、約50のイベントが催された。
高遠町は本を仕掛け材料として観光客を集めることを目指しているようだ。
http://takatobookfestival.org/

3)夏秋(かしゅう)いちご
普通のいちごは春が収穫期だが、夏や秋に収穫できるいちごをいう。
これまで国内では夏や秋にいちごの収穫はできなかったが、ケーキなどの需要は一年中あって、デコレーションのいちごはアメリカからの輸入がほとんどだった。
需要はあるけれども国内で生産できないのは困ったものだとして、民間企業や各地の農業試験場などで、国内栽培に適した新しい品種の開発や栽培技術の研究が行われていた。
そうした国内での品種改良がおこなわれて、北海道や東北などの寒冷地で夏秋いちごの栽培が行われているようだ。
http://narc.naro.affrc.go.jp/chousei/shiryou/kankou/keieit/img/239/p08.pdf

4)パワー・スポット
日本語に直すと、聖地とか霊場のこと。
その場所に行くことによって、それまでに感じなかった不思議な力を感じ、その力によって元気になったり、健康になったりするような気がするといわれる場所がパワー・スポットだ。いわゆる自然崇拝や山岳信仰といわれる場所で、大きな岩や湧き水、滝、洞穴などがあることも多い。
最近では神社などもパワー・スポットといわれることが多いが、昔から神聖な場所と見なされ、神霊が住む場所と信じられていることが多いから、と言われている。
世界では、ペルーのマチュピチュ、北米のセドナとシャスタ山、ヒマラヤ、バリ島、ピラミッド、オーストラリアの中心のウルルなどがあげられている。
http://www.myspiritual.jp/2010/02/post-1100.html
http://plaza.rakuten.co.jp/erilovesedona/diary/201008260000/
http://www.google.co.jp/images?q=%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%AB&um=1&ie=UTF-8&source=univ&ei=MsMNTar0LZGkugOM_sGIDg&sa=X&oi=image_result_group&ct=title&resnum=7&ved=0CGgQsAQwBg&biw=1001&bih=601

http://gauna.clipp.in/




2010年12月12日日曜日

当世キーワード(20101212)

NHKラジオ第1当世キーワード 新語アナリスト・亀井肇さんによる。

1)工業ガール
工業高校に進学して、そこでさまざまな経験をしながら育っていく主人公の女子学生を描いたマンガから出てきた名称が工業ガール。
モノづくりの現場を描いたマンガ作品が続々と登場しているが、少女マンガにも工業系として登場してきている。実習室のオイル臭さやハンダ付けの機械作業などもマンガの中に登場してくる。

2)無し婚カップル
結婚式を挙げないままの夫婦をいう。
結婚式を断念した理由で最も多いのは「妊娠していた」であるが、次いで「お金がなかった」「長い間同居していた」などの理由による。
挙式しないまま結婚届を提出して日常生活を送っているが、そうした夫婦にアンケート調査をしてみると、約80パーセントが披露宴のようなイベントを今後してみたい、という希望を述べているそうだ。

3)週末海外旅行
羽田空港において国際定期便の本格的運行が22年ぶりに再開されて、会社を休むことなく金曜日の夜に海外のリゾート地などに出発し、月曜日の早朝に帰国して出社するような旅行がそう呼ばれるようになってきている。
これまで海外旅行に出発するためには、関東周辺では、成田空港しかなかったため、金曜の夜出発しようとすると金曜の午後に半休を取らねばならなかった。また、月曜日も到着が午前になってしまうので、都心にある会社に着くのは月曜の午後ということも多かった。
しかし、羽田空港から出発するようになると、台湾やシンガポールなどへ金曜の夜にゆっくりと出発することができる。羽田は国際線が48路線あり、地方空港からの乗り継ぎも便利になっている。
それで、近くのホテルは深夜・早朝の出発前や到着後に休憩できるように、宿泊せずに数時間単位で部屋を使えるサービスも始めているようだ。

4)馬鹿(≠バカ、=ウマカ)ステーキ
北海道産の馬の肉とエゾシカの肉を焼いたもので、帯広のイタリア店が売りだしている。
エゾシカはエゾオオカミなどの天敵がいなくなって爆発的に増えてきている。そのために、牧草地の草を喰い荒らしたり、木の樹皮をほとんど剥がして食い尽くしたり、また交通事故や鉄道事故なども引き起こすほど、社会問題にもなっている。
それで農作物や森林に被害をもたらし、このままエゾシカを放置しておくと、森林破壊など環境を変えてしまうかもしれないと、作家のC.W.ニコルさんは警告している。
そのため、輸入肉とか魚にかえて、害獣として駆除するシカの肉を食べれば、地球の自然環境への負荷を少しだけやわらげることができる、と『鹿肉食のすすめ―日本人は鹿肉で救われる』という本の中でニコルさんは述べている。

5)やわらか病人食
味も見た目も焼き魚やすき焼きだが、それをひとくち切り取って口に入れると、マシュマロのようにとけて、病気の後遺症や高齢のため普通食を取れない人もすんなりと食べることができる食品をいう。
舌の上でとろけるマシュマロのように柔らかくなるのは、細胞を切り離す酵素によるものなのだが、酵素を加えることにより、通常の食事の1000分の1に柔らかくなっている。
食材ごとに最適の酵素を選んで、圧力を変えながら注入する技術を開発し、形がくずれないギリギリの柔らかさで、食感も残している。酵素を加えても栄養はほぼ変わらないと言われていて、筑前煮は100分の1から1000分の1に柔らかくなっている。
http://www.amazon.co.jp/dp/4915959848?tag=rambler-22&camp=1027&creative=7407&linkCode=as4&creativeASIN=4915959848&adid=0KTH9GR06T57KJE7D75K&

2010年12月6日月曜日

当世キーワード(20101205)



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NHKラジオ第1、新語アナリスト、亀井肇さんによる。

1)リケジョ
「理系の女」つまり「理工系学部女子学生」を略したもの。
理工系学部への入学を希望する女子学生は少なく、各大学が女子学生獲得のために、女子高生だけの大学説明会を開いたり、キャンパス体験を催したりして、女子学生たちが理工系学部に抱いているイメージを変えようと努力している。
理工系学部に女子学生を獲得することに各大学が躍起になっているのは、少子化に伴う18歳人口の減少で、男子学生だけでは集まりにくくなると予想しているからだ。
「リケジョ」の数が少ないのは、中・高での教え方に問題があるのではないか、と津田女子大の女性研究者支援センターは指摘している。卒業後の環境も改善する必要があるとの声もある。

2)名(メイ)チャリ
名古屋市が社会実験を行っている自転車の共同利用の名称。
自転車の共同利用とは、コミュニティーサイクルと呼ばれているが、2007年にフランスのパリで始められ、先進各国でその試みが行われるようになってきている。

名古屋市の社会実験のための対象地域は、名古屋駅から繁華街の栄恵地区まで東西2.5キロ、南北1.5キロに、300台の自転車が30ヵ所の専用駐輪場に配備され、利用者はどの駐輪場でも自由に貸し出しや返却することができる。
利用者は1ヵ月1,000円で会員登録し、ICカードの会員証を活用して共同利用することができる。30分以内は無料なので、短時間の利用をうながすことができる。

3)スヌード
筒状のネック・ウォーマーが「スヌード」と呼ばれている。ストールや
マフラーは一枚の布で出来ていて、それを首に巻く形式だが、この場合は
端がつながっていて、輪のようになっている。頭からかぶるだけで、首の
周りの暖かさを保つことができる。
もともとは、イギリスやスコットランドで女性が頭に巻くヘア・バンドを
指していたが、首周りを包む防寒用にも使われるようになってきている。

4)エシカル消費
エシカルとは倫理的、道徳的の意味の英語だが、もともとは地球環境に配慮するというエコロジーを起点として想起されたもの。それに社会や人間の問題も視野にいれて、そうしたことに配慮した消費をしようという意味。

つまりエシカル消費とは、環境破壊を引き起こしている企業とか、不当な児童労働をさせている企業、人権侵害などを引き起こしている企業が販売している商品は購入しない、逆に伝統的な技を次の世代に残そうとしていたり、職人が技で作り上げているような商品は積極的に購入することによって、そういう商品に対する支援を少しでもしていこうという意味合いをもっている。

5)方言もえ(方言萌え)
方言をしゃべる女性にいとおしさを感じることを「方言もえ」という。
アニメの可愛らしい主人公の姿に愛情に似た感情を持つことを「もえ」という風に表現するが、愛情の対象を方言に向けているわけだ。
中高年では方言を恥ずかしいと感じる人が多かったが、標準語が全国的にゆきわたる状況で育った若者たちはむしろ方言に対して、いとおしい感情をもつようになっている。

6)ガラケー
「ガラパゴス携帯」の略。
日本国内だけで、世界の流れをよそに、お財布ケータイとか、着メロ、着歌、カメラなど独自の道を歩んでいる携帯電話が、ガラパゴス諸島の生物が独自の進化をしていることに似ていることから、それにたとえたもの。

2010年12月3日金曜日

蔵書を増やさず減らすには(4)

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鳥取市にもかつては古書店(古本屋と言う方がいいな)があったが現在はない。全くないわけではないが、古書についての知識を持った主人が店の奥に座っているような「古本屋」は、なくなってしまった。

ところが新しい「古本屋」が全国的に生まれてきているのだ。昨年の11月に、こんな新書が出版された。
南陀楼綾繁『一箱古本市の歩きかた』光文社新書→http://gauna.clipp.in/
著者のペンネームは「なんだろうあやしげ→何だろう? 怪しげ」本名は、河上進。
この本の第二部 日本全国「ブックイベント」ガイド の中に米子市の例が取り上げられているが、その写真を見ていただけば一目瞭然だろう。

http://yhitohako.exblog.jp/

鳥取県は一番小さな県だが東・中・西の三地域に分けられていて、住民の気質を大雑把に言えば、米子を中心とする西部の住民は積極性があり、県庁所在地の東部の住民は消極的で「煮えたら喰おう」の連中が多い、と言われてきている。
この本のなかで(P.174)紹介されている今井書店本店(永井信和社長)は、「本の学校・大山(だいせん)緑陰シンポジウム」で全国に広く名前を知られているが、本店の経営そのものもユニークなもので、今年七月のNHKテレビ総合の「ルソンの壺」でも詳しく紹介された。
同じページで紹介されている鳥取市の定有堂書店は大型店ではないが、ユニークな文化活動も行っている。店主の奈良敏行さんは鳥取の出身ではない。同店のホームページをご覧になれば、その一端がお分かりいただけよう。

南陀楼綾繁さんも寄稿している。
    (http://homepage2.nifty.com/teiyu/journal/nannda_032.html

今年は我が国でも電子書籍元年を迎えたといっていいが、今日紹介したような活動は、今後も続いていくべきだ。



2010年11月28日日曜日

当世キーワード(20101128)


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NHKラジオ第1、亀井肇さんの「当世キーワード」より。

1)ビジネス・ネーム
テレビタレントや芸人のように、ビジネスの場面で本名と違う名前を名乗ること。
インターネットなどで本名が知られることをおそれて、ビジネス上の名前を付けて名乗ることが多い。
会社を興したときに本名のままでいると、様々なセールス、勧誘の手紙、売り込みなどが自宅に押しかけることが多い。
また、本名がネットなどに出てしまうと、こども達の学校生活に影響を与えることもある。
そうした親としての自分とビジネスパーソンとしての自分を区別したいという理由からビジネスネームを名乗る場合も多い。

2)クイック・スイート
電子レンジで6~7分加熱すると、甘い香りがただようサツマイモの新種。千葉県成田市を中心に生産されている。
普通のサツマイモはレンジで調理すると甘みがものたりない感じがするが、クイック・スイートは電子レンジでも甘くなる。
その秘密はサツマイモの澱粉が糖に変わる時間の長さにあるらしいが、糖に変化するのは特定の温度帯でしか起こらない。電子レンジは温度が急激に上がるために糖化が充分にすすまない。
クイック・スイートは温度帯が広いので、電子レンジでも甘くなる。実験では、クイック・スイートの糖度は主流のベニアズマの約1.3倍となっているようだ。

3)キャラソン(キャラクター・ソング)
アニソン(アニメ・ソング)の一種でアニメのキャラをイメージして作られた楽曲の意。
女子高校の軽音楽部をテーマにしたマンガが昨年からアニメ化されているが、その女子高生バンドが作曲、アレンジしたと想定したCDが売り出されている。
アニメに登場する女子高生バンドの名義で中間アルバムチャートで首位になったこともある。

4)煩音(はんおん)
八戸工業大学大学院教授の橋本典久による造語で、騒音と違って、聞く人の心理状態や人間関係によって煩わしく聞こえる音。『2階で子供を走らせるなっ!』(光文社新書)の中で使用している。飛行機や工場などから出される音は誰にとっても騒音としか聞こえないが、例えば、赤ちゃんがちょっと泣いたりした場合、親などからすればそれほど騒音とは感じなくても、子供をもっていない者にとってはその泣き声は神経を刺激する音として聞こえることもある。公園で子供たちが遊ぶときにあげる歓声、マンションの上階の部屋の歩く音、ピアノの練習の音、隣の部屋のエアコンなど、本人にとってはそれほど気にならないと思っていても、他の人には神経に障る音として響くこともある。それがトラブルに進展することも多くなっている。[ 新語探検 著者:亀井肇 / 提供:JapanKnowledge ]

2010年11月26日金曜日

蔵書を増やさず減らすには(3)


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増やさぬためには本を買わないことだが、減らすには蔵書を処分するしかない。その第1は蔵書を売却することだ。


今から十二、三年前の夏、かつての職場の同僚の紹介で業者に蔵書の一部を売却したことがある。倉敷のNという古書店で、主人と若者が一人、軽トラでやって来た。

書斎には主人だけが入ってきた。何種類かの全集や叢書の類をまず引き取ってもらった。そのあと、単行本で要るものがあれば、持って行ってほしい、と言った。
書棚を一段ずつ、本の背に右手の人差し指をあてて左から右へ走らせながら、これはと思うものをさっさと抜き取ってゆく。「いま、福原麟太郎がよく売れるんですよ。ほかにもっとありませんか」などと言いながら、他の本も次々に抜き取っていく。抜き取った本のページを繰って調べるなんてことはまったくやらない。

軽トラの荷台には本が山なりになって積み上げられ、車輪のタイヤは重みでへこんでいた。「大丈夫ですか」と、心配して尋ねた。若者がシートをかけ、その上にロープを幾重にも掛けた。

応接室で主人が腹巻きから札束を出してテーブルの上に置いた。
「50万でどうでしょう。」
「いいですよ。今、領収書を書きます。」
「わたしどもの商売では、そういうものはいただきません。」

そう言って、軽トラはのろのろと去って行った。

2010年11月25日木曜日

メモ術



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文字や絵の書ける人なら、殆どの人がメモを書くだろう。
しかし、一口にメモといっても、何をメモするか、メモの目的、どんな用具を使うか等々、十人十色、いや千変万化と言ってもよかろう。
従って、メモについての書籍も枚挙にいとまがないが、最近出版された一冊を紹介しよう。

『逆算メモ術』http://gauna.clipp.in/

もともとはウェブにあったもので、11人のメモの達人のノウハウを紹介している。

http://journal.mycom.co.jp/digest/000137/index.html


『逆算メモ術』はこの11人の達人のメモ術を65に分けて、6つの章に分類している。最後の第7章では、この本を編集したマイコミジャーナル編集部が達人たちのメモ術の中にいくつかの共通点を見いだし、従来のメモの定義を覆すヒントを探っている。そして「従来のメモの定義」である
メモ【MEMO】memorandum の略。忘れないように簡単に書きとめること。また、その記録。「―をとる」「要点を―する」「―を見ながら話す」「―用紙」『広辞苑第六版』(岩波書店)  (p.8)
を【新しいメモの定義】として、次の様に提起している。
メモ【MEMO】最小にして最大のアウトプット。自分のアイデアや目標、夢を書き留めること。こまめに書くほど人生が豊かになり、充実感が得られる。「―はアウトプット」「自分はどう思うかを―する」「―をもとに行動する」「―で結果を出す」(p.225)




2010年11月22日月曜日

当世キーワード(20101121)


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NHKラジオ第1 新語アナリスト、亀井肇さんの放送より


1)鳥獣管理士
最近イノシシやシカなどが田畑を荒らす被害が深刻になっている。そうした被害を防ぐために電気柵の設置法や野獣を寄せ付けない集落作りを地域にアドバイスする技能者のこと。

宇都宮大学農学部が昨年の10月につくった新しい資格。農林技術関係者等を対象に地域鳥獣管理専門員養成講座を設置して、このコースで120時間以上学んだ修了者を準1級と認定、120時間未満でも1年間学んだ者は2級と認め、認定書を授与している。
準1級の取得者が3年程度の現場経験を積めば、1級と認定される。

2)イレラン族
イレブン・ランチ族を略した言葉(Eleven-Lunch Madam)。
デパートなどに出店している有名レストランなどに、友人3~4人と開店時間の午前11時に入って12時前には店を出る主婦たちをいう。

これらの有名レストランは、午前11時から午後2時くらいまでの間は、客寄せの手段として、1000円から1800円程度のランチを用意している。価格に比べて内容も充実していて、主婦たちは「お得」という感覚をもつ。安くておいしい、という評判になると、12時の昼食時に行けば長い列に並ばねばならない。そこで、開店の11時に入ってランチを注文する。1時間くらいかけてデザートまで食して12時の混雑時には店を出る。
お父さんたちは12時から長い列を作っているようだ。

3)疑似エンジン音
低速で走っているときには殆ど音が出ないエコ・カーに、取り付けを義務づけることが検討されている。車のモーターが回転する際に発生する音に似せた音のことをいう。

アメリカの視覚障害者団体から寄せられた「エコ・カーは静か過ぎて、接近に気がつかず、危険だ」という訴えに応えて、日本政府は自動車の安全を決める国連の専門会議「自動車基準調和世界ォーラム」で、日本のエコ・カーが採用をはじめたものを世界標準にするよう提案した。この会議もこれをベースに世界標準を徹底する方向を示している。

日本の疑似音の国内基準は、今年の1月に作成された「車の走行状態を想起させる音」とされていて、アラーム音や音楽などは除外されている。
速度に比例して音を大きくしていくのだが、大きすぎると騒音となるため、一般のエンジンが時速20キロで走行する音を上限としているようだ。
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000051.html

4)ただ(只)ゼミ
東京の都立高校への進学を希望しているが、家庭の経済的事情などで塾などに通うことができない中学3年生に対して行われる受験対策の講座。
NPO法人のキッズドアーが行っているもので、都立高校受験の経験のある大学生等がボランティアで講師を務め、教材も学生たちの手作りである。
受講条件は、参加申し込みの際に塾など有料教育サービスを受けていないことだけ。
http://blog.canpan.info/kidsdoor/

2010年11月14日日曜日

当世キーワード(20101114)


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NHKラジオ第1、新語アナリスト・亀井肇さんによる。


1)老前整理
「生前整理」は、例えば癌などにかかって自分の寿命の限界などが分かったときに、相続などを念頭に置いて身の回りの整理などをすることをいい、自分の今後の生活を意識して行うものではない。

新語「老前整理」は、60歳前後からの整理整頓をいう。
還暦、退職、子どもの独立など人生の節目に、それまで積もり積もった身の周りのものを生活に合わせて整理したり捨てたりして、すっきりした暮らしをしようというもの。それは自分の今後の生活をより快適にするための具体性をもったものといわれている。

定年とか還暦といった人生の節目を迎えると、それまでの生活と大きく変わることが多い。
当然、それまでの生活に必要だったものが不要となり、これからの生活に必要なものも出てくる。
ライフスタイルが大きく変わるその節目に、今後の生活に必要なものかどうかを判断して整理し、
スッキリした生活を過ごそうということだ。

2)寄付金自動販売機
駅や街角にある普通の飲み物の自動販売機だが、それで飲み物を購入すると代金の一定の割合が規定された団体などに寄付されるシステム。あるNPO法人によると、全国に200台~300台設置されている。
その自販機には、売上金の一部はNPO法人に寄付されます、と表示されている以外には、他の自販機と同じで商品の価格も変わりない。売り上げの2%~7%が寄付に回されるらしい。

3)ニコイチ ファッション
「ニコイチ」は「二つで一つ」を意味している。
恋人、夫婦、親子などがいわゆるペアルックのファッションのようにすることだが、かつてのように完全に男女が同じファッションにするのではなくて、友達や女の子同士が着用する服の色、バッグなどの小物のテースト(好み、趣味)、ヘアスタイルなど、部分的な要素をさりげなく同じにすること。
つまり、二人で全体としてファッション感覚をまとめること。

4)訳あり宿泊プラン
何らかの理由で通常の旅行代金よりも安く割り引いた宿泊プラン。旅行会社各社とも消費者向けに売り出している。

・エレベーターの隣の部屋なので、その音が少し気になる。
・修学旅行の団体も宿泊しているので一定時間大浴場を利用できない。
・三大夜景として有名だが部屋の間取りの都合で夜景を見ることができない。
そういった理由で宿泊代を30%~40%程度割り引くというもの。

「理由がちゃんと分かるなら、安い方がお得だ」ということで、こちらの方を選ぶ旅行客もいる。
客に対しわざと悪い理由を明示することで、「正直だ」と逆にその宿泊所の評価が高まる傾向もあるようだ。

2010年11月12日金曜日

バヌアツの砂絵


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去る10日(水)の夜、わたしとしては珍しく10時台に、テレビでNHKの「歴史秘話 ヒストリアー柳原白蓮」を見た。そのまま続けて見ていると、「シリーズ世界遺産100」の「無形文化遺産―砂に託すメッセージ」、タイトルは「バヌアツの砂絵」。わずか5分の番組だが、驚いた。


「バヌアツ」という地名も「砂絵」という言葉も、恥ずかしながら、はじめて知った。
砂を薄く敷いて、一本の指で幾何学的な紋様をすいすいと描いてゆく。
一見、唐草模様を思い浮かべたが、はるかに複雑な紋様に見えた。説明によると、文字のように様々な内容を伝えているのだという。

いや、こんな説明より映像を見ていただいた方がいい。
まず、砂絵を教えてくれたNHKに感謝してそのサイトから。
http://www.nhk.or.jp/sekaiisan/card/cards777.html


次のユネスコ・アジア文化センターのサイトでは、南太平洋上のバヌアツ群島の位置も分かるし、スライドショーを見ることができる。
画面は次の四つ。
1)火山灰に砂絵を描いている様子。
2)砂への幾何学的な描画。
3)砂絵を学ぶ子どもたち。
4)砂絵の例。

次の画面の矢印を記入している部分でもいいし、もっと下方に頭を出している部分でもいい。どちらかクリックすると、拡大された映像を見ることができます。
http://www.accu.or.jp/masterpiece/masterpiece.php?id=77&lg=jp


「無形文化遺産」ではあるけれども、あまりにもはかない。数百種類の砂絵があるそうだが、すべてを写真に残すとか、砂絵そのものを固定化して残すべきだと思う。(すでに何らかの保存方法が実行されているとは思うけれども…)
砂絵でどんなことが伝えられて来ているのか、内容も知りたいですね。

―――◇―――◇―――◇―――◇―――◇―――」
「NHKウイークリー ステラ」11/12号(P.102)に「シリーズ 世界遺産  100」の制作プロデューサー須磨章さんの文章が掲載されていたので、その一部をご紹介する。

……80の島々からなるバヌアツでは部族ごとに言語が違い、昔からこの砂絵がお互いの連絡手段として使われてきたというのだ。
村でお葬式があるという知らせは、中央に亡くなった人の遺影が描かれ、周辺にその死を悼む人々の嘆きの表情が配される。私は西洋の宗教画によくあるキリストやマリアの昇天と天使たちの場面を想い出した。
……砂の上に描かれるということは、短時間でいつの間にか消滅してしまうということでもあり、そのはかなさがより、美しさを際立たせているのかもしれない。
ほうっておくと、知らず知らずのうちに失われてしまう地域や民族の固有の文化を守っていこうという「無形文化遺産」の理念に、この砂絵はぴったりだ。そして子どもたちにも引き継がれ、将来に夢のもてる遺産でもある。





2010年11月7日日曜日

当世キーワード(2010年11月7日)



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NHKラジオ第1  亀井肇さんの「当世キーワード」より 



①スマート ウィンドウ
窓ガラスのコーティングを電気的に制御することによって、透明の状態から濃い色へと変化させる。
会議室などの窓に利用すると、普通の場合、素通しのまま使用し、重要会議の場合は色を濃くすることによって、秘密事項が外部に漏れないようにすることができる。

また、省エネなどへの応用も注目されている。
室内の気温や天候などによってガラスの透明度を自動調節することも考えられる。そうすることで空調にかかるエネルギーや費用を最小限に押さえることができる。

アメリカでは政府が開発事業に巨額の補助金を出しているそうだ。

http://eetimes.jp/news/3750


②就職留年
卒業しようと思えば卒業できるが、就職先が決まらないので1科目だけの単位を取らないで大学に残ること。

卒業してしまうと、会社の新入社員採用情報なども入ってこなくなるし、会社側も卒業者を排除する傾向が強い。既卒者の場合エントリーシートの登録を許さない会社も多いといわれている。
こうしたきびしい雇用環境を受けて、多くの大学が就職留年するために授業料減免を新設するケースも増えているようだ。

③フットカバー
女性がパンプスなどに合わせて履く、ごく短い、足先などだけを覆う靴下。
男性用の短い靴下はくるぶしまでの長さしかないことから「くるぶし」などと呼ばれていたが、それよりもさらに短い。
脚全体を覆うストッキングより開放感があり破れにくいために、女性たちの間で履く人が広がっている。
素足に靴を履く不快さがなく、なま足のように見えることが好まれているわけだが、パンプスからはみ出さないような、甲が開いた形が多い。
最近は、色柄つきやつま先だけを覆うものも売り出されている。

④コンテンツ ツーリズム
映画、テレビドラマ、アニメなどの舞台となった町などを訪ねる旅のこと。

映画のロケ地を訪ねる旅などは、フィルムツーリズム、シネマツーリズムなどと呼ばれていたが、テレビドラマの舞台やアニメやゲームに登場してくる場所などを訪れる人も増えてきていることから、これらをすべて併せてコンテンツツーリズムと呼ぶようになってきた。

コンテンツ ツーリズムの特徴は映像で見た姿をそのまま求めることにあるとされているが、撮影された場所の民家や商店、駅といったものは姿を消していってしまうものも多い。
とくにセットは一回限りで壊す前提で設計されているが、そうした映像に現れたものをそのまま残すことによって、旅行客を集めるために設立されたのが、山形県鶴岡市の庄内映画村である。

地方に期待されても現実に存在しない風景を造り込んで繰り返し利用するとともに、映画やテレビドラマなどの作品を見た観光客にも公開することによって、ビジネスにもつなげようとしている訳だ。

2010年10月31日日曜日

当世キーワード(2010年10月31日)


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今日は今月五度目の日曜日なので、亀井肇さんの当世キーワードはなく、VTRという言葉の意味・使われ方について、NHK放送文化研究所の杉原満さん(放送用語班研究リーダー)が解説した。聞き手は佐塚元章アナ。

放送の通り対話形式で採録してもいいが長くなるので内容をまとめて文章化して報告する。

最近、テレビなどで「VTRをご覧ください」とか「先程のVTR の中で」といった表現が毎日のように聞かれる。
こうした表現に対して視聴者から、ビデオテープレコーダの機械を見てるのではないのだから「VTRを見る」という言い方はおかしい、という意見を時々いただく。

NHKの「言葉のハンドブック」にも、基本的には「VTRをご覧下さい」のような使い方は避けた方がいいという取り決めもしている。
http://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/qq/kotoba_qq_02010101.html

実際にはどのくらい使われているか、インターネットで検索すると、
「ビデオを見る」 54万7千件ヒット
「VTRを見る」   55万6千件ヒット
と、ほとんど同じ。一般的にも同じように使用されていることが分かる。

テレビの世界を振り返ってみると、かつては録画再生の合図として「VTRスタート」とか「VTR回転」とか言っていたが、この場合は「録画再生機」という本来の意味で使っている。
ところが1980年代に、音声を含む編集済みレポートをスタジオの部分をはさんで、次々に見せていくという演出が定着した。
そうするとテレビの制作者としては、全体の構成を考えるときに、ここは
スタジオ、この部分はVTR、ここはスタジオで、またVTRというように表す
ようになった。
この場合は、録画機というより映像という意味とか、さらには映像や音声
も含めた「編集済みのレポート」という、やや抽象的な意味も含むように
なっている。

そうした業界用語だったものが一般社会でも使用されるようになったのは、
出版物での用例を検索してみると、1990年前後から「VTRで見直してみる」
「VTRでふりかえる」といった表現が出てきている。
ただこの場合は、「VTRで」は「機械で」とも「映像で」とも解釈できる。

明らかに機械ではない、「VTRを見る」という使い方が出てくるのは、1997
年頃から、とやや遅くなる。
さらに、2003年をすぎると、用例集の中で「映像」や「内容」という新しい
意味が「機械」という意味を上回るようになり、業界用語だった表現がここ
10年ほど前に一般に広まったことが分かった。
最近の辞書では「映像」という意味を載せるものが出始めている。

さらに意味が拡大するだけでなく、別の現象が起きている。

VTRが本来意味しているビデオテープレコーダーそのものが、今、姿を消し始めている。普通は、物が次第に使われなくなると、それを表す言葉も次第に使われなくなって、いわゆる「死語」になる。
「ビデオテープレコーダー」という言葉を聞くと、なんとなく古い言葉という感じがするではないか?
ところが「VTR」という言葉は、インターネットで「VTRとは何の略語か」というような質問が出るくらいに、もとの意味は大分忘れられつつあるけれども、実際に使われている。

意味が拡大しただけではなく、本来の意味からもずれてきてしまっている、という段階に入ってしまっていると思われる。
昔とは違うイメージだが、うまくそれを変えて活躍を続けている芸能人がいる。それと同じように、イメージを変えて生き残っていくという、なかなかしたたかな、たくましい言葉といえるかもしれない。

2010年10月25日月曜日

当世キーワード(2010年10月24日)



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1.時短正社員
下記のサイトに亀井肇さん自身の説明がある。
http://dic.yahoo.co.jp/newword?ref=1&index=2010002055

2.白熱教室
史上最多の履修者数を誇っていると言われている、ハーバード大のマイケル・サンデル教授が行っている政治哲学の講義のニックネーム。
下記のサイトで講義の動画を見ることができる。
http://www.nhk.or.jp/harvard/
こちらもおすすめ→http://video.fc2.com/content/20100606wVgfMbYt

3.アニマル パスウェイ
[分断された森をつなぐ橋 アニマルパスウェイ]のサイトがいい。
http://www.enwit.co.jp/WitChannel/Topics/AnimalPathway.html

4.検索症
下のサイトがよさそう。わたしも気をつけよう。
http://slashdot.jp/it/10/05/19/0153222.shtml

5.ハニハイ
東京銀座産の蜂蜜を使ったカクテルのことだそうな。「え?」という人はまずこちらをどうぞ。
http://www.gin-pachi.jp/0/topics/1
ハニハイとは? 飲みたい人もこちらをどうぞ。
http://ginza.keizai.biz/headline/1241/

2010年10月23日土曜日

当世キーワードの再掲載


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NHKラジオ第1の「当世キーワード」をブログで紹介するのをやめたのは、NHKのサイトに毎週その内容が載るようになったからである。

ところが、今月21日、このブログの「当世キーワード」最終回(4月25日掲載)の投書欄に次のような匿名さんの投書をいただいた。

10月17日から当世キーワードのサイトが削除されました。
是非再開をお願いします。
NHK(に)連絡すると、頻度が少ない、費用などで掲載されない
来春に再度検討の回答あり 

このブログに投書が来るなんてめったにないことなので、明日の放送分から再開します。ただ、明日と明後日は別のことで時間がないので、再開するのは、水曜日になります。(自己弁護すれば、最近、コンピュータの調子がよくないので、ブログを中断していたのです。)

2010年10月4日月曜日

おめでとう、阪神タイガース・M.マートン選手!


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先月30日の対横浜戦にまさかの逆転負け、翌1日には0-5で広島に完敗して試合のなかった中日の優勝を確定させた阪神タイガース。

2日、3日、11-4、7-4と広島カープを連覇して2位をキープしている。唯一うれしかったのは、今年からタイガースの戦列に加わったマートン(Matt Murton)が昨日210本目のヒットを打ち、イチローの記録に並んだことだ。明日からの最後の3連戦できっと記録を更新すると確信している。

◇阪神タイガース公式サイトより、マートン選手の略歴と昨日の試合の記録を載せておく。   (→http://hanshintigers.jp/game/score/index.html

図1.クリックすると拡大します。
図2.クリックして左上に現れた図を大きくできます。


図3.上の図2のようにすれば大きくなりますが、文字は読みづらいでしょう。上記本文の最後に
載せている「阪神タイガース公式サイトのアドレス」をクリックして、そのサイトに行けば、こういう記録も読めるのです。



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2010年9月21日火曜日

今週で終る「ゲゲゲの女房」



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「ゲゲゲの女房」はいよいよ今週末の25日(土)の全26週・156回をもって終る。これまでのNHK「朝ドラ」より視聴率がかなり高くなったという。
主演の松下奈緒、向井理をはじめ、多くのベテラン共演者たちの好演もあるが、山本むつみの脚本が非常に良かったことも大きい。

出雲地方や鳥取県西部の方言「だんだん=ありがとう」や、父親源兵衛(大杉漣)がよく使った「だらず=ばか」は県東部でも使われているがこのドラマでひろく知られるようになったことだろう。

来週からの連続テレビ小説は「てっぱん」になる。主人公の村上あかりを演じる瀧本美織は鳥取市内にある鳥取敬愛高校の卒業生だ。引き続き声援を送ることにしよう。
http://www9.nhk.or.jp/teppan/

「マイコミジャーナル」にこんな記事があったので、追加して紹介します(9/22)。




http://journal.mycom.co.jp/news/2010/09/18/008/index.html









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2010年9月7日火曜日

蔵書を増やさず減らすには(2)

読みたい本があってもすぐには買わない。メディアマーカーに記録して「待つ」と昨日書いた。いつまで待つのか。

本屋に行って、その本を手にとって実際に内容を吟味する。買いたくなっても我慢する。衝動買いなどしてはいけない。「家に帰れば、読まねばならぬ本が待っているではないか」と我慢する。一にも我慢、二にも我慢、三にも我慢だ。
人生は短い。我が家の書架にはまだ読むべき本が待っているではないか!

図書館にあれば、借りて読もう。メディアマーカーで、登録した図書館にその本があるかどうか調べることができる。ある場合は、昨日のブログの写真(2)にあるように、わたしの場合は、「☆県立図書館所蔵」というタグをつける。
最近、もっと簡単に図書館が所有しているかどうかを調べることができる「便利もの」を知ったので、ご紹介する。

1―2.Libron (リブロン)

すでに述べたように、特定の図書館を指定して、特定の書籍を所有しているかどうかを調べることはメディアマーカーでもできる。それをもっと簡単に、すばやくできるのが、アマゾン のページから最寄りの図書館の蔵書を検索できる便利なツール、リブロンだ。

ある本をメディアマーカーに登録する場合、その本のさまざまな情報を取得するために、必ずアマゾンのサイトにいくことになる。このリブロンを使うと、指定した本の情報と同時にその本が登録した図書館にあるかどうかを知らせてくれるのだ。
わたしの場合、自転車なら15分くらいで行ける県立図書館が一番便利なので、これを登録している。(ただ残念なことに現在、Chrome あるいは Firefox でなければ使用できません。)

写真 ① 「鳥取県立図書館で予約する」をクリック

写真 ② [予約]ボタンをクリックする。

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2010年9月6日月曜日

蔵書を増やさず減らすには(1)

ある本からの孫引きだが、書誌学研究家の庄司浅水が19世紀イギリスの歴史家、マコーリのこんな言葉を紹介しているという。
ひとたび書物を愛してこれに親しめば、日の長さを嘆ずるどころか、一生の短いことを嘆ずるだろう。
この言葉の真実を、己のような凡庸な者もかみしめてはいるが、ここでは物体としての書籍についての悩みとその解決法を考えてみたい。と言ってみても、改めて言うまでもなく解決法は二つだ。
1.なるべく本を購入しない。
2.すでに所有している本をできるだけ処分して減らす。
―――――――――――――――――――――――
1―1.Media Marker(メディアマーカー)

この歳になると、これ以上蔵書を増やしても自分の死後、残されたものが処理するのに困るだろうと思う。わたしは欲しくて買ったわけだが家人にとっては狭い家の中でただ場所を占めているだけの無用の長物になりかねない。
そこで、先ず第一になすべきことは、できうる限りこれ以上蔵書を増やさぬことだ。具体的にはどうするか? Media Marker を活用する。

写真①図書についての各項目の最下段の緑色の文字がタグ。

写真② 個別のページ

むろん蔵書の登録、整理に活用できるが、これを蔵書を増やさぬために使うのだ。
改めて説明するまでもないだろうが、このメディアマーカーは、書名やISBN などを入れて検索すれば Amazon にとんで表紙の画像その他をたちどころに取得してくれる。下の写真の通りだ。アマゾンで目次をコピーしてメディアマーカーの記録欄に貼り付けることも簡単にできる。とにかく、1冊の本について必要な情報をすべて記録することができる。

本題にもどろう。
蔵書を増やさないためには、本を買わないことだ。できるだけ、図書館を活用する。

毎日手にする新聞には必ず本の広告が載っている。週に一度は読書欄もある。もっとも「危険な」場所、書店も街のあちこちにある。出版社や新聞社が発行している月刊誌(書店では無料で貰えるし、予約すれば年間千円くらいで購読できる)も「危険」だ。
日々こういう危険に身をさらしながら、この本をすぐに読みたい、買いたい、という衝動をぐっと我慢する強い意志と、家内の愚痴という力強い支援が必要だ。

どういう「場」であれ、読みたい、買いたい、という気持ちをぐっと我慢する。ただちに、書名なり、ISBN なりを手帳にメモする。そして、メディアマーカーに登録して、じっと「時が来る」のを待つ。

とにもかくにも、メディアマーカーに記録するだけでとりあえず満足する。「忍」の一字で我慢する。


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2010年9月4日土曜日

「ゲゲゲの女房」 いよいよ終盤へ

NHKの連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」は、来週、第24週に入り、いよいよ今月
25日に終了する。

このドラマがクランクアップして、そのセレモニーが行われたのは8月18日だった。ブログの右サイドバーに、このドラマのガゼットを一か月ばかり前から置いていた。これをクリックしていただけばその動画をご覧いただけたのだが、現在はできない。
    ↓ をクリックしてください。セレモニーの動画をご覧になれます。
http://www.nhk.or.jp/pr-movie/index.html?id=0383
 
『ゲゲゲの女房』の著者、武良布枝さんへのインタビューも、8月22日のラジオ深夜便で放送された。(午前4時台の明日へのことば「終わりよければ、全てよし」)


2010年8月19日木曜日

トランクの中の日本 (2/2回)

紹介したい写真はいろいろあるが、少年少女を撮った2枚の写真をご紹介する。カメラを扱う私の技術が未熟なためでもあるが、写真に付された文章も読んでいただきたいと思うからだ。
最初は例の「直立不動の少年」。




………
 焼き場に一〇歳くらいの少年がやってきた。小さな体はやせ細り、ぼろぼろの服を着てはだしだった。少年の背中には二歳にもならない幼い男の子がくくりつけられていた。その子はまるで眠っているようで見たところ体のどこにも火傷の跡は見当たらない。
少年は焼き場のふちまで進むとそこで立ち止まる。わき上がる熱風にも動じない。係員は背中の幼児を下ろし、足元の燃えさかる火の上に乗せた。まもなく、脂の焼ける音がジュウと私の耳にも届く。炎は勢いよく燃え上がり、立ちつくす少年の顔を赤く染めた。気落ちしたかのように背が丸くなった少年はまたすぐに背筋を伸ばす。私は彼から目をそらすことができなかった。少年は気を付けの姿勢で、じっと前を見つづけた。一度も焼かれる弟に目を落とすことはない。軍人も顔負けの見事な直立不動の姿勢で彼は弟を見送ったのだ。
私はカメラのファインダーを通して、涙も出ないほどの悲しみに打ちひしがれた顔を見守った。私は彼の肩を抱いてやりたかった。しかし声をかけることもできないまま、ただもう一度シャッターを切った。急に彼は廻れ右をすると、背筋をぴんと張り、まっすぐ前を見て歩み去った。一度もうしろを振り向かないまま。係員によると、少年の弟は夜の間に死んでしまったのだという。その日の夕方、家にもどってズボンをぬぐと、まるで妖気が立ち登るように、死臭があたりにただよった。今日一日見た人々のことを思うと胸が痛んだ。あの少年はどこへ行き、どうして生きていくのだろうか?(pp.96-97)
[長崎の小学校にて]
この教室を訪れたとき、私は壊れた窓や校庭であったはずの場所が完全に破戒されている様を見て、深い悲しみに襲われた。子供たちは驚くほど規律正しく手も動かさずに静かに座っていた。私は教室に侵入者のように現れたが、子供たちは私に目を向ける様子もなく、ただじっと先生の話を注意深く聞いていた。そして先生も私を無視して、授業を続けているのであった。疎外感がこみ上げ、私はさっさと写真を撮るとそこを後にした。(pp.94-95)







上の説明文のタイトルが「小」学校となっているが、「国民」学校が正しい。昨日のブログで紹介したオダネルの文中にも書かれているように、彼が日本に滞在していたのは1945年9月から翌年の3月までの7か月間であった。1941年4月から1947年3月までは国民学校であった。
この写真の最前列左の女の子の服に縫いつけられている名札には「奈(?)○○國民學(校)」と書かれている。○○の部分の漢字は判読できない。ネットで調べてみたが具体的な学校名は確認できなかった。

ただ、この写真をもう一度アップしたのは、子どもたちの目を見て欲しかったからだ。写真に写っている最前列の子どもたちの足は男女ともみな素足だ。机の上には教科書やノートもない生徒もいる。なんの授業かも分からない。しかし、教師の顔を見上げている、子どもたちの真剣な目を見てほしい。

わたしも6年間国民学校に通った世代だ。焼き場に立っている少年も、この教室の少年少女たちもたぶん同じ年齢だ。違っていても2歳は違っていまい。これらの写真を見るたびに、熱いものがこみあげてくる。

これらの写真を残してくれたジョー・オダネルさんは、奇しくも、2007年の8月9日、長崎・原爆の日に亡くなった。85歳だった。



2010年8月18日水曜日

トランクの中の日本 (1/2回)

あれはいつのことであったか? 正確には思い出せない。後で述べることから、推測すると、1992年か、その翌年のことであったと思われる。
新聞の記事、というより記事とともに掲載されていた一枚の写真に衝撃を受け、心を打たれた。この写真は一昨年の夏、NHK総合テレビでも放映され、多くのブログがとりあげた。

2008年8月7日(木) 午後8時~8時49分、「解かれた封印~米軍カメラマンが見たNAGASAKI~」
(→http://www.nhk.or.jp/special/onair/080807.html

1995年6月に『トランクの中の日本 米従軍カメラマンの非公式記録』が小学館から発行され、「あの少年に会える」とすぐに買った。

冒頭で推測したのは、この写真集の帯にこう書かれているからだ。
1990年からアメリカで、ついで1992年から日本各地で彼の写真展は開催され、話題を集める。しかし、この夏に予定されていたワシントンのスミソニアン博物館での原爆写真展は、すでに報道されたように在郷軍人の圧力でキャンセルされた。ここにおさめられた57点の写真は、スミソニアンではついに展示されなかった真実の記録である。
さらに同じ帯に「1993年、日本で開かれた写真展で食い入るように写真を見つめる人々。」という説明と写真も載っている。

この写真集は現在でも入手できるので、ここで紹介しておきます。


この写真集に、なぜこのような題名が付けられたのか?
寫眞の撮影者、ジョー・オダネル(Joe O'Donnell)自身の言葉「読者の方々へ」を引用しよう。

私ジョー・オダネルは、アメリカ海兵隊のカメラマンとして、1945年9月2日に佐世保に近い海岸に上陸した。空襲による被害状況を記録する命令を受け、23歳の軍曹だった私は、日本各地を歩くことになった。
私用のカメラも携え、日本の本土を佐世保、福岡から神戸まで、そしてもちろん広島、長崎も含めた50以上の市町村に足をのばした。カメラのレンズを通して、そのとき見た光景の数々が、のちに私の人生を変えてしまうことになろうとは知る由もなかった。
1946年3月、本国に帰還した私は、持ち帰ったネガをトランクに収め、二度と再び開くことはないだろうと思いながら蓋を閉じた。生きていくためにすべてを忘れてしまいたかったのだ。
しかし45年後、戦後の日本各地で目撃した悪夢のような情景からどうしても逃れられないと思うようになった。私はトランクを開けると、湿気からもネズミの害からも奇跡的に無傷だったネガを現像し、写真展を開催した。
この本は私の物語である。私自身の言葉で、私の撮影した写真で、戦争直後の日本で出会った人々の有り様を、荒涼とした被爆地を、被爆者たちの苦しみを語っている。胸をつかれるような寫眞を見ていると、私は否応なく、辛かった1945年当時に引き戻されてしまう。そして、私のこの物語を読んでくださった読者の方々には、なぜひとりの男が、終戦直後の日本行脚を忘却の彼方に押しやることができず、ネガをトランクから取り出してまとめたか、その心情を理解していただけると思う。
1995年4月 ジョー・オダネル

2010年8月3日火曜日

平和な夏は甲子園だ!

平和な夏は甲子園での全国高校野球選手権大会だ。
鳥取県予選では、母校、鳥取西高は初日の第二試合で米子西高に7対2で敗れ、早々と姿を消してしまった。
決勝戦では、昨年城北高校に初の甲子園出場を阻まれた米子北高を、今年も東部の八頭高が4-1で破り、7度目の甲子園を決めた。

8月1日、全国の49代表校が決まった。
昨日、こんなブログを見つけた。
http://d.hatena.ne.jp/rationality/20100730/1280454982


49代表校の中で初出場は、昨年の半数、6校だ。その中に茨城県代表、水城(すいじょう)高校がある。ブログは、この高校の野球部のことではなく、現校長さんが若かった頃、水戸の定時制・通信制高校で「硬」式野球部を監督、指導なさったときの話だ。

このサイトに多くの人が感想を述べている。感銘を受けたという人もあれば、否定的な声もある。わたしはいい話だと思うから、ご紹介した。

2010年8月1日日曜日

會津八一と戦没学生たち

毎年夏がくると、蝉の声とともにあの戦争の時代を思い出す。子ども時代の体験もあるが、さまざまなメディアがさまざまな視点からあの時代をとりあげるからでもある。

先月28日の夜、NHK-ETVで放映された日曜美術館ー「広目天のまなざし・會津八一と戦没学生が見た奈良の仏」ーを見た。7月18日(日)9:00~9:45に放映されたものの再放送だ。

1943(昭和18)年10月21日午前8時、東京の明治神宮外苑陸上競技場(現・国立競技場)で、文部省主催の「出陣学徒壮行会」が開かれた。
夜来の雨の中、東京及び近県七十七校の学生が制服制帽にゲートルを巻き、剣つき銃を肩にかつぎ、各校の校旗を先頭に行進していく。
東條英機首相、岡部長景文相らの激励を受け、出陣学徒代表が「……生等もとより生還を期さず」と答辞を述べ、観覧席からは各校の校歌が沸き上がり、それらの歌声はいつしか「海ゆかば」「紅(くれない)の血は燃ゆる」の大合唱となり、神宮の杜(もり)にこだました。(『昭和二万日の全記録』講談社などによる)

当時、わたしは国民学校の三年生であったが、大学卒業後、郷里の高校の教壇に立つようになったとき、先輩である同僚のなかには、戦地に向かう大学生としてあの雨中を行進した人、スタンドで雨に濡れた小旗を振りながら涙ながらに歌をうたった女子学生であった人がいたのである。

剣つき銃を肩に雨中行進した学生たちのなかには、当然、早稲田大学の学生たちもいた。
彼らに日本美術を教えていたのが、會津八一(1881年―1956年)であった。


     ↑http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2010/0718/index.html

秋艸道人、渾斎の雅号をもち、歌人・書家・美術史家として有名だが、新潟尋常中学校(現県立新潟高等学校)を経て、東京専門学校(早稲田大学の前身)に入学し、坪内逍遙や小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)らの講義を聴講し、1906年早稲田大学英文科卒業。卒業論文にはキーツをとりあげた。1934年、文学博士。1948年、早大名誉教授。戦後は故郷の新潟に在住。(同じ大学学部に学び、卒論に同じキーツを選んだはるか下の後輩として、ただただ、小さくなって平伏するのみである。)


會津八一自身「一回読み切り講義」と称していた美術史の講義は、しばしば、脱線もしたが、最後の決まり文句は「理屈を言わずに、奈良を歩いて来い!」であったという。

前述の学徒出陣の年、昭和十八年の秋、これが最後となる10日間の奈良旅行を行うことになった。會津は半紙を50枚の短冊に切って寺の名前を書いたものを畳に並べて、計画を練った。宿はいつも決まっていて、會津教授の定宿、奈良公園前の「日吉館」だった。



    ↑http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2010/0718/index.html

テレビではその旅行に参加した学生の一人、89歳の金田 弘(かなだ・ひろし)さんが登場した。戒壇院四天王像のうち、會津八一に似ているといわれていた廣目天を身近に見たとき、いつでも出征できると思ったという金田さんは、この旅の途中で入隊することになった。別れのあいさつに會津の部屋を訪れたとき、彼はこう言ったという。
君は今でも歌を作っているか。作りたまえ。
良寛や芭蕉も君らの歳では大した歌や句はまったくない。
長生きして実らせよ。井戸水をどんどん汲み出したあとで、本当の地下水が現れる。
命を無駄にするな。学問を続けよ。
金田さんは、姫路の師団に入隊したが、病を得て除隊になった。

奈良の航空部隊に入隊した別の学生は、毎朝のジョギングの途中に、日吉館の看板を手でさすっては走り続けたという。その看板の文字は師の書いたものであった。この学生はフィリピン沖で戦死した。
けふも また
いくたりたちて
なげきけむ
あじゅらがまゆの
あさき ひかげに
この番組の中で會津八一として何度か登場する寺田 農(てらだ・みのり)は、「先生は学生たちが生きて帰ってくることを願っていたのではないか。みずからも守り、生徒たちにも示した學規の最初には、この生を愛すべし、と書かれているし…」と言う。また言う。「なんども見ているうちに先生が廣目天に似てきたのではないか。」


 

戦地に向かう学生たちの多くが小さな仏像の写真を買い求めたという。弥勒菩薩が人気だった。学生たちは母の写真の代わりに仏像の写真を持って往ったのではあるまいか、とも。

唐招提寺に會津八一の遺骨の一部がおさめられている。
おほてらの 
まろき はしらの
つきかげを
つちに ふみつつ
ものをこそ おもへ

付記:実物重視の学問、実学を重んじた會津八一は、3000点もの東洋美術の資料を自らの給与の半分以上を使って集めた。現在は早稲田大学會津八一記念博物館に収められているという。かつて文学部の図書館だったところだ。
http://www.waseda.jp/aizu/index-j.html

久しく、早稲田の杜を訪れていないよなぁ。

2010年7月14日水曜日

父子男旅・鳥取県

昨13日の朝日新聞「天声人語」の左横にある小さな広告欄(TOYOTA)に、[父子男旅]という文章だけの広告がある。第2回とあるから最近にはじまったものらしい。その文章の後半に、
「男をデカクする景色は、自然とは限らない」。…中略…〈PCで男旅〉男旅サイトの閲覧数が15万を越えた。全国47の男旅MAPと紹介文が面白い。男旅しよう。
とあったから、鳥取県ではどこを取り上げているのか、とのぞいてみた。
下の写真をクリック、拡大してご覧頂きたい。

この文中に紹介されている計画が完成する頃には、わたしは城跡から見下ろすことができる公園墓地の墓石の下に入っているであろうし、寫眞の地図にある[西中―醇風小―西高]を結ぶ線上にある我が家もどうなっていることやら?
いやいや今、現在でも鳥取西高を現在地に置くのかどうか、結論は出ていない。

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2010年7月10日土曜日

もっと簡単に、縦書き

もっと簡単に、三木露風の次の詩を縦書きで読んでみましょう。


ふるさとの
小野の木立に
ふえの音の
うるむ月夜や。

少女子は
熱きこゝろに
そをば聞き
涙ながしき。

十年徑ぬ、
おなじ心に
君なくや
母となりても。

次のアドレスをクリックすると、

http://taketori.org/index.html

下の写真のような竹取の画面が出ます。このサイトのアドレスが入っているところに、下記の同じアドレス(つまり、今ご覧になっている、この画面のアドレス)
        http//wwwgauna.blogspot.com/

をコピペしていただき、右のボタン[このURLを縦書きで表示する]をクリックすれば、今ご覧の画面がたちどころに縦書きになります。


変わりましたか?

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2010年7月9日金曜日

三度目、縦書きで読みたい

6月31日以来ブログがひと月以上「開店休業」状態になっていた。
こんなことは「開業」以来はじめてのことだ。このグログを訪れる人はたしかに少ない。だからと言って「閉店」する気持ちはさらさらない。

最近、この国では電子書籍が話題になって出版業界も騒がしくなってきた。わたしも大きな関心を持って現状を見つめている。何冊か本も読んでみたし、Web上でもさまざまな情報に目を通している。いささか大げさな言い方をすれば、グーテンベルグ以来の大革命が起こりつつある。
昨日76歳になったが、この歳まで生きたおかげで、この変革を体験できることをよろこんでいる。今後、変革の体験を自分なりに書いていきたい。

とりあえず、今日はこのブログの縦書き表示について書いておく。日本語のブログを縦書きにすることは、(わたしのような者にとっては)難しい。わたしの知るかぎりでは、現在、二つある。

1.涅槃(ねはん)

これには、わたしの使っているブロガー用のものもあるが、わたしのようなプログラミング言語についての知識が皆無の者には難しい。
これを使ってブロガーで縦書きのブログを書いているサイトを二つばかり知っている。

2.竹取JS(たけとりJS)

これは読者の方の協力が必要であるが、今ご覧のサイトをたちどころに縦書き表示してくれる。

上記のアドレスへいって、下の画面のところへ移動して(縦書きの画面だから左へ移動して)、「縦書きにする」(青色文字)をクリックしたままブックマーク・バーまで引っ張ってはなす(drag and drop)と、あとはこのブックマーク「縦書きにする」をクリックすると2番目の画面のようにたちどころに縦書きになります。
パチパチ(拍手) では、本日はこれまで。







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2010年5月31日月曜日

世界禁煙デー

ご覧の通り、今日は世界禁煙デーだ。それでふと思い出して久しぶりにブログを書くことにした。

タバコを始めたのは二十歳になってからだったが、当時から一日二〇本ではおさまらなかった。タバコ銭がなくなると、学生協で五本、十本とバラ売りのたばこを買って、キャンパスのベンチでむさぼるように、吸った。                                          
一度だけ禁煙をしたことがあったが、タバコの煙や匂いがしてくると、どうしてもそちらの方へ顔が向いてしまう。なにかさもしいような気がして、禁煙は一週間あまりでやめてしまった。以来、禁煙しようと思ったことは一度もなかった。喫煙は半世紀以上続いた。

古稀も過ぎたある日の朝、ふと書棚に目をやると、並んだ本の背文字が読みづらいことに気づいた。コーティングされた本のカヴァーの背をウェットティッシュで拭いてみると、くっきりと背文字が現れた。ティッシュを見ると、ベッタリとニコチンで汚れていた。タバコをやめなきゃだめだ、と思った。
ダンヒル・ロングの箱には十本前後のシガレットが残っていた。それは全部吸った。そして喫煙をやめた。

その後も、飲み屋へ行ったときなど、ダンヒルを買って、酒のつまみのようにしてチェーン・スモーキングをやって一箱開けてしまうことをなんどもやってみた。それでも、翌朝以降、禁断症状的なものは現れなかった。現在、喫煙は克服できたと思っている。いわば、その報償状が下の【卒煙式】の記録なのだ。

 
http://sotsuen.jpn.org/ ↓