2009年10月19日月曜日

当世キーワード(2009年10月②)

昨日のNHKラジオ第1の放送から:

Ⅰ.ジュニア エコノミー カレッジ
福島県の会津若松商工会議所が2000年から始めている。
小学生5人が一組になって株式会社を設立し、3ヶ月かけて、2万円を元手に米や野菜など、会津の地場産品を使った商品を企画販売し、利益配分を行う。
事業運営の手本となるテキストはすべて会津若松の企業人が手作りで作成している。会社組織の運営だとか、商品の企画販売を疑似体験することで、次の世代が事業の継承を決意することの足がかりになれば、ということから始まった由。
愛知、大阪、熊本のど8つの商工会議所も今年から実施しているそうだ。

Ⅱ.スマート・ハウス
「スマート」には「かしこい」とか「情報化」といった意味がある。IT、いわゆる情報技術を使って、家庭の消費電力を制御する住宅がスマート・ハウスと呼ばれる。複数の家電をネットワークでつないで、エアコンやテレビなどの使用を制御する。
テレビの消し忘れをなくしたり、エアコンの温度調節などができるので、わずらわしい操作をしなくても、ムダな電力消費を抑えることができるというわけ。太陽光パネルや家庭用蓄電池と接続して、発電した電力をより効率的に使うことができる。
経済産業省は今年の9月から実証実験をはじめて、二酸化炭素の排出量などを測定している。

Ⅲ.カメラ女史
いつもバッグの中にデジカメを入れていたり、首から一眼レフなどをぶらさげていて、何か面白い被写体を発見したときには、すぐにシャッターを押す女性がカメラ女史と呼ばれている。
彼女たちの愛機というのは、中古のフィルム式から最新のデジタル式の一眼レフまで様々だが、自分たちの日常生活の一部を切り取って、自分らしさを表現したいということでは共通しているようだ。
失敗作と見なされそうな甘いピントの写真などもあるが、被写体に接したときの気持ちを表現したものであると、彼女たちは言っている(と亀井肇さんは言っている)。

Ⅳ.メタボ予防マグロ
魚の体内に蓄積しやすいオリザノールという成分をエサに混ぜて養殖されたマグロが「メタボ予防マグロ」とよばれている。
東京海洋大学の研究チームは、米ぬかの中に含まれているオリザノールが体内の脂肪をエネルギーに変えやすくすることを発見している。
その協力を得て、子会社の養殖場でオリザノールを含んだエサを養殖マグロに与えることにしている。
そのエサを食べた養殖マグロは体内にオリザノールを蓄積し、そのマグロを食べた人間がオリザノールによって体内の脂肪を燃焼させることができ、その結果、メタボリック症候群になるのを避けることができる。
オリザノールには成長促進作用もあって、約2年でマグロは30キログラムに育つと言われている。

Ⅴ.車輌オーナー制度
千葉県東部で営業している電鉄会社が老朽化した車輌を買い換えるために採用した債券が車輌オーナー制度だ。
新しい車輌は愛媛県松山で使用した車輌4両で、海路で銚子まで運ばれる。輸送費と整備費で約1億4千万円の費用がかかるが、そのうち2千万円を債券化し、1口10万円でオーナー200口を募集した。1人最大10口までで、現金の償還は行わず、1口につき1年間有効の全線優待招待券を発行して、車内にオーナーの名前を掲載する。

Ⅵ.プチ肉食系
仕事をバリバリとこなして、私生活においても積極的に男性を誘い込む肉食系女子に対して、ほんの少しだけ自分を主張している女性がプチ肉食系と呼ばれている。
肉食系がホストクラブなどで積極的にお金を使ったり、積極的に男の子を軟派するのに対して、プチ肉食はあくまでも自分が見つけた男性に対して一途に尽くすだけということだ。しかし、1度この男性とつきあっていたいと決めれば、この男性に対しては積極的になる。(**系だの××系だの、インフルエンザに負けぬほど大流行らしいが、まったく興味がない。イササカ、サビシイコトデハアルネ。)

以上、今回もほぼ、亀井肇さんが語った通りを掲載する。

2009年10月6日火曜日

田中菊雄『現代読書法』で知った新渡戸稲造

昨日、堀正岳さんのサイトを訪れて、驚いた。田中菊雄『現代読書法』が紹介されていたからである。このサイトはときどき拝見していろいろ学習させていただいているが、若い人がこの本を取り上げていることに驚いたけれど、またうれしくもあった。
この本の内容については堀さんが丁寧、かつ的確に紹介されているから、ぜひそのサイトをご覧いただきたい。
  http://lifehacking.jp/2009/10/book-reading-for-the-modern-age/

わたしは、これに便乗して、思い出話をさせていただく。
さっそく本棚から田中先生の著書を抜き出してみたら、下記の6冊があった。

『現代讀書法 現代人は如何に讀むべきか』柁谷書院 昭和17年1月
『現代読書法』三笠書房 1961年5月
『英語学習法』研究社 昭和33年8月
『英語研究者のために』講談社学術文庫 1992年1月
『知的人生に贈る どう生きるかを考える書』三笠書房 1983年7月
『岩波英和辞典 新版』岩波書店 1958年3月 
(*この辞典は、島村盛助・土居光知・田中菊雄の共著となっているが、田中の血と汗の結晶である。)

最初に挙げた『現代読書法』の裏表紙見返しの遊び紙に次のようにペン書きしている。

以前に、戦後版を購入していたが、四月の火事(注:1952年4月17日の 鳥取大火)で焼失してしまった。それを今日、増田古書店で買った。この書物には多大の利益を得た。本を読んで書き入れや、抄録をするようになったのも此の書の影響である。書中に引用せられている多くの書籍は、自分にとって極めて有益な良書紹介であった。新渡戸先生の著書を知り、読み、先生を崇拝するようになったのも、この書及び、同著者の「私の人生探求」の御陰である。この書が再び自分の書棚に収まることとなったのは嬉しい。(昭和27年6月29日)

上記書込みにもあるように、新渡戸稲造の『修養』を県立図書館から借りだして読み、感銘を受けた。この本をどうしても自分の書棚に置きたいと思った。しかし、明治44年の発行だから、古書店でも入手は難しかろうと、筆写することを決心した。新制中学3年生の秋、1948年9月12日の日記にその決意を記している。

図書館の本の帯出期間は限定されているから、3人の親友にも頼んで代わる代わる帯出してもらい、筆写を続けた。その後、親友の一人が自宅の蔵にあったと言ってきて、この本を借りっぱなしにすることができた。「大正五年十月一日縮刷五十一版」の小型本だった。
翌年「昭和二十五年十二月二十二日午後七時」筆写完了。

B4の罫紙の両面に朱色の縦罫が14行書きできるように引かれた用紙に、ガラスペンとインクで筆写した。ちょうど罫紙300枚、600ページだった。年の暮れではあったが、27日に、製本屋の主人が「感心した」と言って、わざわざ届けてくれた。「修 養  新渡戸稲造著」と背文字も刻されていた。2年後の大火の際も、これだけはという思いで持ち出した本の一冊として現在も書棚にある。
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もちろん現在では、教文館の新渡戸稲造全集もあるし、タチバナ教養文庫の一冊として『修養』も容易に入手できる。
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2009年10月5日月曜日

当世キーワード(2009年10月①)

10月4日の放送より。今回は、NHKラジオ第一で亀井肇さんが語ったとおりをほぼ忠実に文章化した。

★見守りサービス
元気なうちは子どもの世話になりたくないと、一人暮らしをしている高齢者の親を、子どもに代わって見守るサービス。
床に落ちているものでつまずいたりしないように定期的に掃除をしたり、家の中のセンサーで異変を察知したりする。
ある大手警備会社は、昨年の秋から、家の中にセンサーや警備ボタンを設置するシニアセキュリティーを開始している。
センサーの反応が一定時間なかったり、緊急ボタンが押されたりすると、異常が発生したと判断し、家族に知らせるとともに、警備員が即刻かけつけるというサービスである。

★公共自転車
環境省が今年の10月から12月の間、東京・丸の内のビジネス街で行う、いつでも、だれでも使用できる自転車の共同利用の社会実験で、公共自転車と呼ばれている。
駐輪ポートを300メートルごとに5ヶ所設置して50台の自転車を配備し、ちょっとした距離の移動に、気楽に自転車が使えるようにする。
利用者は初回1000円の登録料を払えば、30分以内の利用は無料で、どのポートに自転車を返してもよい。
30分以降は10分ごと、3時間以降は5分ごとに、おのおの100円ずつ課金される。

★世界ジオパーク
世界的に貴重な地形だとか地質、火山、断層などをもっている自然公園を認定する制度。ユネスコの支援で、2004年に設立された世界ジオパーク・ネットワークが認定している。
世界遺産が保全だとか保護を重視するのに対して、教育や観光を通じた地域振興にも目を向けているのが特徴。
今年の8月に中国の大安市で開かれた会議で、北海道の洞爺湖・有珠山、新潟県の糸魚川、長崎県の島原半島の3つの地域が選ばれて、その結果、現在、19ヶ国の63地域が世界ジオパークとして認定されている。

(蛇足:鳥取県も隣接県とともに、鳥取砂丘を含む山陰海岸を世界ジオパークに認定されるよう運動している。もう十数年以上の昔になろうか、月の砂漠をラクダにのって旅をする王子、王女にあやかって金儲けをしようと、日本にいるはずのないラクダを持ち込んだ。そんなみっともないことをするな、と反対したが、観光シーズンのテレビ画面には相変わらず、当たり前の如く、ラクダの背にのった観光客の姿が出てくる。こんなインチキが存在するようなところがジオパークに認められるものか、と思っているが、「観光振興」のためだ、と認められるのかな?)

★超人ネイガー
秋田県で人気沸騰のローカルヒーロー。ネイガーという名前は、「なまはげ」の発する「なくごはいねがぁ(泣く子はいないか)」にちなんでいる。
敵役は、だじゃく(=乱暴)組合のほじなし(=まぬけ)組合員がやっている。
ばすこぎ(=うそつき)、はんかくさい(=ばかくさい)、かまどきゃし(=放蕩者)、えらしぐね(=かわいげない)などの敵役がある。
「海を山を秋田を守る秋田発・地産地消ヒーロー」が、キャッチコピー。
秋田県の様々な場所で催される行事、イベントなどのショウに登場して、観客から万雷の拍手で迎えられている。

★インビジブル・ファミリー
日本語では「目に見えない家族」と訳される。
子どもたちが独立したり、お嫁に行ったりして、普段は二人暮らしの60台の夫婦で、つつましく暮らしているが、何週間に一回、あるいは数ヶ月に一回は、高価な肉とか、果物、洋菓子などをたくさん買い込むことがある夫婦のこと。
嫁いだ娘が家族を連れて、その二人暮らしの親の実家に戻ってくるので、そのためにそういった買い物をする。
商店やスーパーにとっては、盆や正月、ゴールデン・ウィーク、夏休みなどにおいて、そうしたインビジブル・ファミリーの夫婦に対して具体的な提案をすれば、そこに商売のチャンスが訪れることになる。

★ツリー・クライミング
ロープだとか安全保護具を使って、10メートル以上の大木を登る技術を競う競技がツリー・クライミングと呼ばれている。
1983年に、林業や樹木医らの専門家が行っていたロープを使った木登り技術を、子どもでも安全に楽しめるようにと、改善したリクリエーションとっして考案されている。
競技には、木に登るスピードを競うものだとか、ロープを投げる作業の精確さを競うものなど、5種類ある。
日本でも今年の5月に、愛知県瀬戸市で第1回日本ツリー・クライミング・チャンピオンシップ大会が開催されて、優勝者がアメリカ、ロードアイランドで7月に開催されたツリー・クライミング世界大会に出ている。