2008年2月22日金曜日

語学はやり直せる!

きのう、夜の町で酒を飲んだので、店の前に放置していた自転車を持ち帰るため駅前まで出掛けた。
いささか酒が残っている感があるので〈New Orleans〉へ行く。コーヒーを飲みながら、前日ほとんど「衝動買い」した本を開く。
黒田龍之助『語学はやり直せる!』角川oneテーマ21
おもしろい!!

第一章 語学がいっぱい
●語学のミステリー
●辞書を引くのがとまらない(計7ページ)
ある朝、著者は邦字新聞を読んでいて「はしか」って英語ではなんだっけ、と辞書を引きはじめる。和英辞典→英和辞典→英語の語源辞典→羅(ラテン語)和辞典→和露辞典→露和辞典→英・チェコ辞典→チェコ・英辞典→英・スロベニア辞典などと続く。
これだけ見ているとちっとも面白くないみたい、と思われそうだが、英語学習者への実益とこの本の文体を知っていただくために、二カ所だけ引用する。

 例文を読む。My(younger)brother caught[come down with](the)
measles.「弟がはしかにかかった」。あたり障りのない、無難な例文である。(p.19)
Love is like (the)measles, all the worse when it comes late in
life.「恋ははしかのようなものだ――人生で遅くやって来るほど始末が悪い」
やっぱり「はしか」は若いうちに済ませておくべきなんだな。もっとも、現代医学では必ずしもそうではないようだけど。(p.20)

ごうなはこの7ページ分だけ読んで「よーし、ただちに家へ帰って、久しぶりにブログでこの本の紹介を書こう」と思った。

いや、もっと正直に言えば「●読書は語学の王道」がはじまっている左のページの中にある
…モームの『人間の絆』[ごうな注:「きずな」というルビあり](原題は
Of Human Bondage)は、はじめて読み上げた英語の長編小説……
という文字列が目に入っていた。

高校時代、偶然に見たアメリカ映画「剃刀の刃」に感銘を受けた。まもなく発刊されたモーム原作の翻訳本(上・下の2冊)を読んだ。はじめてモームという作家を知った。当時、三笠書房が出していたモーム選集の中の2冊であった(1951年6月出版)。
ますます感銘のボルテージが上がり、ついにハードカバーの “The Razor's Edge”(WILLIAM HEINEMANN LTD)を三省堂に発注した。
その本が届いてまもなく、あの1952(昭和27)年4月17日の鳥取大火でわが家も全焼した。なんとか持ち出した本の中にこの本もあった。
荒木又右衛門の墓のある玄忠寺の本堂で大勢が雑魚寝する日々が一ヶ月ほど続いた。大学受験の年だからと同情してくれた住職のご厚意で、友人と二人して借りた6畳間で、翻訳書と辞書を頼りに毎日読み続けた。
その後、同期生のH君の薦めで“Of Human Bondage”を辞書だけでなんとか読破した。

上京して最初の下宿は、『剃刀の刃』を翻訳した齋藤三夫さんも住んでいた新宿区赤城元町であった。
早稲田での二人の教授による最初の英書講読は、中学時代から尊敬していた新渡戸稲造の愛読書、Thomas Carlyle の“SARTOR RESARTUS”(研究社小英文叢書『カーライル 衣裳哲学』)と、高2の秋に読んだモームの『讀書案内―世界文學―』(西川正身訳、岩波新書)の原本“Books and You”だった。

喫茶店の窓から見える久しぶりの青空をぼんやり眺めながら、そんなことを取り留めもなく思い出していた。
飲み残していたコーヒーは、すっかり冷たくなっていた。(明日に続く)




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