2007年3月15日木曜日

ウェブという新世界 3

梅田望夫は、『ウェブ進化論』第五章の「2 ネットで信頼に足る百科事典は作れるか」でウィキペディアを取り上げ、「3 Wisdom of Crowds」の中では、その一つとして、ソーシャル・ブックマークについて述べている。

『ウェブ進化論』を読む以前からウィキペディアの存在は知っていた。しかし、梅田さんの文章を読みながら、ふと、気になる言葉を思い出し、ウィキペディアに当たってみた。それは、「豆腐ちくわ」である。

豆腐ちくわとは、文字通り、豆腐で作った竹輪だ。むろん、豆腐だけで竹輪が作られるわけがない。魚肉のすり身と豆腐を混ぜたもので作るが、あくまでも豆腐の風味を持っていなければいけない。いかなる種類の魚肉とどんな豆腐を、どのような比率で混ぜ合わせるかによって、製品のできに違いが出てくるのは、当然。
今日のような豆腐ちくわを製造しているのは、昔も今も、鳥取市内を中心とする県東部のいわゆる竹輪屋、蒲鉾屋(水産練り製品製造業者というべきか)だけである。

この豆腐ちくわに関する記述をウィキペディアの中に見いだしたとき、ある種の感動を覚えた。しかし、同時に懸念が的中したことでがっかりもした。
全体的にはよく書かれてはいるが、もっとも問題のある記述は次の二カ所だ。
【1】豆腐ちくわを最初に本格的製造したのは、鳥取市の「ち○○商店」である。
【2】最も多く生産している「ち○○商店」では豆腐と魚のすり身を7対3の割合で混ぜ、魚肉は……

【1】については、このように断定的に述べる根拠はなにもない。
【2】については、事実を述べているのであろうが、【1】と併せて、この商店名のみを繰り返しているのは、宣伝臭が強すぎてウィキペディアのもつ意義、意図からみて、いかがなものか、と思う。

この項の〔変更履歴〕を見ると、2006年の2月12日より、何度も加除変更が重ねられ、最新版は2007年2月26日になっている。冒頭に書いたように、気になる言葉を思い出し、ウィキペディアで検索したのは、この項目が最初に書かれてから、一ヶ月ほど経ったときだったことになる。
この豆腐ちくわについての記述は、「ち○○商店」もしくは同店の依頼を受けた者によって書かれたものであることは、容易に推測されよう。わたし自身はそう確信している。

さて、『進化論』のなかで梅田さんはソーシャル・ブックマークについて次のようにのべている。
《対象となる記事に印(ブックマーク)をつけて、簡単なコメントやキーワードを付して「ネットのあちら側」に置くもの。「面白いものを選び、簡単にコメント等を付す」……
それは「個」が自分のために行い「あちら側にオープン」にしておくところがミソだ。》
《……今はまだ「個」の数が少ない上に偏りがあって、ブックマークの分析によってネット「全体」の変化や人気動向を理解できる段階には至っていないが、「個」の数が増えて分布性能が上がるにつれ、そんな「全体」としての価値も高まっていくだろう。》

この言葉の意味するところと違うかも知れないが、ソーシャル・ブックマークの一つであり、梅田さんも関係している「はてなブックマーク」をウィキペディアの豆腐ちくわの項に付し、
〈豆腐ちくわを最初に本格的製造したのは、鳥取市の「ち○○商店」である〉に疑義あり
というコメントを付した。  

「ち○○商店」の社長は、わたしより若い人であるが、鳥取の特産物としての豆腐ちくわの宣伝を、長年にわたり、精力的かつ熱心にやってきている人である。そのための創意、工夫もいろいろやってきている。この点において、他店は熱意も努力も全くと言っていいほどに欠けている。だから、わたしはこの社長に対して敬意をいだいている。
しかし、疑義はたださなければならない。わたしは、この文章を「ごうな」というハンドルネームで書いているが、プロフィールを見ただけでわたしが誰か、社長には分かると思う。このブログではこれ以上言わない。いずれ、何らかの方法で私見を述べたい。

今回は以上のような文章になってしまったが、ウィキペディアを含めて、ウェブという新世界に対するわたしの思いや期待は、先回述べた通りであることに変わりはない。







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