2014年8月31日日曜日

幸田文さん

 私たちの世代は、戦後の教育改革で、最後の国民学校卒業生となり、受験なしで新制中学の第一期生となった。
 3年生の年の12月に、当時本屋に出ていた岩波書店の「露伴全集」の第11巻(少年文学)を購入し、2週間足らずで読了した。
 翌1950年4月、初めての受験で鳥取西高の4期生となった。
まもなく露伴の『五重塔』を読んだが、11月に露伴翁の次女、文さんの『こんなこと』、翌年5月に『みそっかす』、8月に『父』を読了した。

 紆余曲折を経て、予定通り一年の浪人後、はじめて上京し、早稲田大学の英文に合格し、あこがれの東京生活を始めた。
 幸田文さんに会いたいという思いはあったが、尋ねて行く勇気はなかった。

 1958年7月10日、夕方6時より、有楽町読売ホールで幸田文全集刊行記念講演会があり、文さんの挨拶、小林秀雄、武田泰淳,有吉佐和子たちの講演と、映画「流れる」の上映があって、なかなかの盛会であった。
 二日後の12日の午後、日本橋三越で幸田文さんのサインパーティがあって、発売されたばかりの「幸田文全集 第六巻」(第一回配本)にサインしていただいた。





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