2014年8月27日水曜日

「きなんせ」はどこの言葉?

 今月の14日と15日、第50回鳥取しゃんしゃん祭が行われた。14日には鳥取市の市街地でメーン行事の一斉傘踊りがあり、過去最多の113連約4200人が金銀の短冊と小鈴で飾った傘を手に若桜街道などのメインストリートを練り歩いた。
 傘踊りの人数を競うギネス世界記録へ挑戦し、2011年ルーマニアでの1464人に対し、1688人で記録を更新したという。
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 この祭りについて、わたしには一つの不満がある。
 2003年の2月に日本海新聞の「私の視点」(現在では「読者のひろば」)に投稿してボツになったものだが、今でも私の意見は変わらない。以下、そのままこのブログに載せる。


 鳥取しゃんしゃん祭振興会(事務局・鳥取市観光課内)が、祭の新しい曲を募集している。あの奇妙な言葉「きなんせ」を改めるよい機会だと喜んでいたら、募集要項を見てがっかりした。募集するのは「曲調」で「歌詞はあってもなくても自由ですが必ず『きなんせ』または『しゃんしゃん』のフレーズを入れること」と書かれている。「きなんせ」になんの疑問も持たぬどころか、これを尊重し、「きなんせ」は鳥取の方言で「来てください」という意味である、と注記までしている。
 よその家を訪問したとき、鳥取方言では、たとえば「ごめんなんせえ」と挨拶し「おいでなんせえ」と応答する。「ごめんなんせ」「おいでなんせ」なんて、聞いたことがない。「来てください」は、「来んさい(な)」とか「来なんせえ(な)」などという。
 松本穣葉子の「囃子」の部分「キナンセ キナンセ 踊りゃんせ/サッテモ ヤレコノ ヨイトコセ」が、このえせ方言「きなんせ」の「せ」音にこだわって作られているのは明白だ。「ヨイトコセ」は、「ええとこ(ろ)ですで」の意もこめているのだろうが、いささか苦しい。しかし、後半は許すとしても、前半の「キナンセ キナンセ 踊りゃんせ」は困る。知らない人は「踊りゃんせ」も鳥取弁と思うにちがいないからだ。
 「天神さまの細道じゃ」なくて、若桜街道や智頭街道(キャアドウと言うべきか)で踊りながら「踊りゃんせ」でもあるまい。曲調を変えなくても「きんさい
 きんさい 踊りんさい/きんさい音頭で 踊りんさい」とでもすればと思うのだが・・・。
智頭橋の歩道兼コミュニティー広場の名称も、おそれていたとおり、「きんさい広場」ではなく「きなんせ広場」が採用されて久しい。鳥取市はこの名称を石に刻して、えせ方言を後世に伝えようとしている。
 ふるさとの言葉を大切にしない行政に地方文化尊重を口にする資格はない。
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