2008年1月23日水曜日

網膜剥離と白内障(1)

◆はじめに
昨年来、どうしたものかと迷っていたのだが、ごうなの眼病について書いておくことにする。

小学生時代は身体が大きいほうだったから、教室での席は後ろのほうであった。自分の席から黒板の文字が見にくくなって(むろん、視力検査の結果もあってのことであろうが)近視の眼鏡を使用するようになったのは、中3のときであった。以来眼鏡は持っていたが、かけたりはずしたりの時代がながく続いた。
むろん、加齢にともなって老眼も使用するようになってはきたが、視力の検査は職場での健康診断や、眼鏡が合わなくなって眼鏡店でやってもらうだけであった。

◆突然の発症
青天の霹靂とでもいうべき事態を迎えたのは、還暦を過ぎてからのことでだった。
忘れもしない、1996年のことである。
(以下、過去に書いた文章の一部を引用する。)

 五月の連休も終わる日の昼下がりのことだった。遅い食事を終えて自分の部屋に戻った。畳の上の新聞を取ろうと、立ったまま腰を曲げて手を伸ばしたとたんに、右目の左端からぱっと黒い煙のようなものが吹き出してきた。思わず右手でその目をおおって机の前へ行き、静かに腰を下ろして両目をつむった。
 飛蚊症(ひぶんしょう)といって、蚊というよりも黒い糸屑のようなものが目の前を動きまわることは、何年も前から時々あった。眼科で診察を受けたこともある。だが、今回は違う。痛みはまったくない。
 しばらくすると、その煙は消えた。そっと両眼をあけたみる。だいじょうぶ、目は見える。目の前のものは見えるが、薄いベールでも通してみているように、少しかすんでいる。片目ずつ交互につむってみると、右目で見たときだけ、そんな状態だった。白い紙をじっと見ると、とても小さな黒点が升目を作ったように整然と並んでいるようだ。これは、いったい、どうしたことか。
 今思うとぞっとするが、まことに無知ほど恐ろしいものはない。おまけに、ぼくは根っからの「超」楽天家である。いや、先天的小心性楽天家とでも言うべきだろう。要するに、真実を知るのが怖かったのかもしれない。最近はナポレオンになったみたいに、三四時間も眠ると目が覚めて床を離れてしまう。疲れのせいだろう、と高を括った。悪くても、白内障かなんかの前触れかもしれない。その夜、しっかり飲んで眠りについた。
 翌日……の晩もしっかり飲んで、ぐっすり眠った。次の日、……目の状態は依然として変わらない。〈これは、体のどっかが故障しているのかもしれない。明日こそ、総合病院へいってみよう。〉やっと、決心する。この日はかるく飲んで寝た。


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