2011年1月2日日曜日

2011年新春


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2011年、明けましておめでとうございます。

大晦日の深夜から降り始めた雪は2日の午前9時現在、鳥取市で39センチであるが、全県的には道路、鉄道とも大変な支障をもたらしている。
しかし、今朝は、遠く万葉の時代の雪に思いを馳せてみたい。

万葉集全二十巻、四千五百十六首の歌の最後は、大伴家持の歌である。

新(あらた)しき年の始(はじめ)の初春(はつはる)の今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)
[新しい年のはじめの、新春の今日を降りしきる雪のように、いっそう重なれ、吉き事よ。(注1)]

この歌が詠まれてからちょうど1250年目の2009年の秋、奈良県立万葉文化館長の中西進さんが、ゆかりの地、鳥取市国府町に来て特別授業「万葉集っておもしろい!」の授業を行った。その模様を「日本海新聞」の「海潮音」が次のように伝えている。
◆……なぜこんな回りくどい繰り返しで歌が始まるの、万葉集はなぜこの歌で終わるの……◆この日は正月と立春の重なる数十年に一度しか巡ってこないめでたい日(注2)、しかも瑞兆(ずいちょう)の雪まで降り積もっている。家持はこれ以上ない喜びの表現で、このように良い事が重なれと神に祈るように詠んだのだという◆もう一つの発見も。万葉集は第一首が一月七日の若菜摘み行事で始まり、因幡を祝福する正月の歌で四五一六首の最後を飾る。万葉集は暦で始まり、暦で終わる。カレンダーが組み込まれているのだ。万葉集には自然を敬い、寄り添うように生きていた万葉人の精神があふれている◆「ゆかりの地の人たちにこの歌がいかに立派な内容であるか、正確に理解してほしかった」と中西さん。やっぱり「万葉集っておもしろい!」。
次の年も中西さんが来鳥した。昨年の7月16日付の朝日新聞の〈鳥取版〉が次のように伝えている。
国文学者……の中西進さんが万葉集の面白さを子どもたちに伝える出前授業「万葉みらい塾」が15日、鳥取市国府町町屋の市立国府中学校で最終回を迎えた。中西さんは3年生53人に鳥取とゆかりの深い歌などを解説した。
………
「元日と立春と雪が重なったことに家持が感じた特別な思いは永遠です。では永遠はどういう形で存在するのだろう」と中西さんが質問すると、生徒から「心の中にあります」と答えが返ってきた。中西さんは「そうですね。これは祈りの歌なんです」と満足そうにうなずいた。
万葉みらい塾は奈良県立万葉文化館と奈良県万葉文化振興財団、朝日新聞社の主催。今回が63回目で鳥取県では初めて開かれた。今回で全都道府県での開催を達成。全国で約4千人が受講した。
中西さんは万葉みらい塾を終えたことを記念し、午後には鳥取市尚徳町のとりぎん文化会館で「こどもたちのための万葉集」と題して講演した。63回の授業を振り返って、「子どもたちの豊かな感性や想像力に出あい、素晴らしい経験になった。みらい塾で一番たくさん出てきた単語は『こころ』と『いのち』。その大切さを伝えたかった」と話した。
この歌を詠んだとき、大伴家持は因幡(現在の鳥取県東部)の長官を務めていた。

注1 中西進『万葉集 全訳注原文付(四)』講談社文庫 p.363
注2 旧暦による。
参考→http://www.tbz.or.jp/inaba-manyou/index.php?view=3945











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