2008年10月16日木曜日

「手書き」力

和田茂夫『「手書き」の力』(PHPビジネス新書)を読む。
この本のねらいは、24ページにある次の言葉であろう。
私が言いたいのは、「何でも手書き」にではなく、「何でもデジタル」にすることが本当に賢い選択なのか、ということである。
たしかにデジタルの世界はますます便利になってきている。わたしはいまだに所有していないが、たとえばiPodなども、どこにでも簡単に携帯できるし、楽しいだろうと思う。
しかし、急に何かメモをとろうとしたとき、そくざに文字を書いたり図を描いたりするのに、紙と鉛筆ないしはペンほど、手っ取り早いものはあるまい。
すべて印刷された文章に添えられた手書きの言葉が、あたたかさや、その人に対するなつかしさを感じさせるのも事実だ。
手書きにはたしかに「力」があるのだ。文字にせよ、絵にせよ、まことに下手な〈ごうな〉であるが、そう思う。

書斎の本棚にはこの著者の本が二冊ならんでいる。単行本と新書の違いはあるが、この人の本の作り方は同じだ。
各章は、数節から十二、三節で構成され、各節は2~4ページに収まっているし、図も多く、関連のあるページもレファレンスできるようになっている。たいへん親切で、読みやすい。

この本の第3章3節「どんな状況でもメモがとれる方法」で、マネークリップ型や二つ折タイプのサイフに、5×3カードや名刺サイズのカードとミニボールペンを使う(p.99に図)ことを紹介している。

わたしも、30年くらい前、現職時代に、80㎜×165㎜(一万円札より少し大きめ)の用紙の片面に5㎜方眼と「×××用箋」の文字を入れたカードを印刷屋に頼んでかなりの枚数を作ってもらった。これを札入れの中に入れて携帯した。夏の軽装のときには、マネークリップ型の財布にこのカードだけを二つ折りにしてシャツのポケットに入れていた。(若干残っているので、現在も財布に入れている。)
その後、コレクトが紙幣サイズ(76㎜×164㎜)の「情報カード」を売り出したが、紙質も自家製のものより厚めで、縦長に使用すると、片面にだけ9㎜幅の罫が18行分ある。(現在発売されているかどうか、調べていない。)

和田さんの本については、わたしの所有している3冊をこの記事の最後に挙げておくので、Amazon のサイトで見てください。
あと、手帳や筆記具について4点記しておきます。

1)二つ折り財布に紙幣のようなメモ用紙を入れることについて述べたが、その財布に収納できるペンをウェブ上で見つけた。
Sanpo社のWalkie Pen(¥630)。値段も手頃だし、なかなか格好いい。
(↑下線の言葉をクリックすれば、そのサイトに行きます。以下同じ。)
鳥取の文具店にあればいいが...

2)奥野宣之さんの『情報は1冊のノートにまとめなさい』は相変わらず売れ行き好調のようだ。この本を読んで奥野流に入門した人に朗報です。
Campus のA6ノートを使っている人が多いと思うが、そのコクヨS&Tがやりました。その名もずばり、文庫本ノート。70枚で税込価格が¥283。鳥取と松江の人は加藤紙店で買いましょう。消費税は内税にしてくれるから、¥270だ。
奥野さんといえば、「日経ビジネス アソシエ」9月2日号が特集の[ノート術」のなかで、奥野さんを4ページにわたって紹介していた。パソコンで索引を作っている画面の写真を見ると、このブログの「便利なO'sEditor」(6月1日付)で紹介したO'sEditorの[シンプル]という画面で索引を作っている。ちょっとうれしかった(蛇足ごめん)。

3)わたしが現在使っている、もっとも小さなメモ用具をご紹介しよう。まず、メモ用紙の入れ物は、たぶん、どこの100円ショップでも売っている蝦蟇口(ガマグチ)型の印鑑ケース(だと思う)。サイズは、今使っているのを計ってみると、48㎜×90㎜だ。
中に入れる用紙は25㎜×75㎜の付箋紙を30~40枚。な~んだ、とお思いの方もあろうが、このくらいの付箋紙でも小さな文字だと、結構な字数が書ける。

1カ所だけ手を加えることがある。このガマグチを開けて、どんな紙でもいい、高さは付箋紙の幅よりやや大きめ、横は30~40㎜くらいに切って、片側に糊で貼り付けるだけだ。メモを書いた付箋紙を貼り付けて一時保存するためだ。2枚目以上は、むろん、その上に貼り重ねていけばいい。(上の写真をクリックすれば拡大されます)

ペンはゼブラのペンポッドを使う。キャップの先の金具に小さな金属リングか細い紐でリングを作ったものを付ける。ガマグチにはもちろん開け閉めするための口金(クチガネ)が付いている。ガマグチを開けて、一方のクチガネにペンポッドの金属なり紐のリングをかけて閉めれば両者は合体するわけだ。
もう一つのやりかた。ガマグチの底の左右に穴の開いた金具がある。開け閉めするための大事な金具ではあるが、この近くの革(ではないが、らしきもの)をつまんで引っ張れば簡単にはずれる。数㎜の穴が開くが一向に差し支えない。この穴の開いた金具を利用すれば、ペンポッドをぶらさげることができる。
夏、上着を脱いでシャツのポケットが一つしかないときなど、このミニメモ用具は重宝しますよ。

4)調子に乗ってもう一つ。腰リールを使っている方に、和服用の腰リールの提案をしましょう。
若い方は見たこともないかもしれないが、古道具屋かなんかでキセル(漢字では煙管と書きます)入れとたばこ入れ(刻みたばこを入れた)を見つけたらの話です。キセルを入れた竹筒を腰の帯に差し、たばこ入れはその竹筒にくくりつけてぶら下げた。
もうお分かりでしょう。竹筒にボールペンなどを入れ、たばこ入れにメモ帳や付箋紙を入れる、というわけです。
いっそ、格好いい箸入れ(円筒状でキャップをかぶせるタイプもあるよね)を見つけて、これにメモ帳を入れる布製の小袋などをぶら下げてもいいかも。

0 件のコメント:

コメントを投稿