1943(昭和18)年の8月も終わる頃、一人の少年が早朝の鹿野街道を歩いていた。1941年の4月に以前の小学校が「国民学校」と改称され、少年がその初等科3年生になった年の夏休みも終わろうとしていた頃で、「大東亜戦争」が始まってから1年9カ月が過ぎようとしていた。
前夜からの雨はあがっていたが、アスファルトで舗装された道はまだ濡れていて黒く光っている。少年は素足で、身につけているのはランニングシャツと短パンだけ。さすがに早朝の空気は冷たかった。普段彼が通っていた醇風国民学校は行程の半ば過ぎにあったが、学校に近づくまでには、体は十分に温まった。
彼が休み中に通っていたのは、久松山下にある公園の砂場の「鍛錬場」。鹿野街道を堀端に出て右折し、たくさんの蓮の花が咲いている堀にかかる大手橋を渡ると右手が鳥取一中のグラウンドで、道を隔てた左手が「鍛錬場」だった。ここで柔道の基本を学ぶのだ。
額の汗をぬぐいながら空を見上げると、昨夜の嵐の名残か、大きな黒雲が久松山の後ろから南東の方向へかなりの早さで流れて行く。少年は3カ月ほど前に見た映画「姿三四郎」の最後の決闘の場面を思い浮かべていた。「よ~し、三四郎のように強くなるぞ」。
映画「姿三四郎」を思い出すたびに、上に書いたような、遠い昔の自分の姿をいつも思い出す。そしてこの映画で思い出すといえば、いつも二つの場面だけであった。
自分の行動を師に叱られた三四郎(藤田進)が、道場となっている寺の庭の小さな池に跳び込み、そのまま池の中で杭につかまって一夜を過ごし、早朝、眼前の小さな一輪の蓮の花が開くのを見て、柔道の神髄に開眼する場面。
もう一つは、最後に、三四郎と月形龍之介演じる柔術家が、強い風の吹く草原のような場所で決闘する場面であった。
今年4月、テレビのBS②で「没後10年 黒澤明特集」の放送が始まった。彼の監督作品全30本の一挙放送だ。そして「姿三四郎」は、5月6日に放映された。この作品の監督が黒澤明であり、しかも彼の第一作目の映画であったこ
とも、初めて知った。この放送を見て、最後の決闘の場面は、わき上がる雲の映像がきわめて印象的であることを知り、「少年」があの日、黒雲の飛ぶのを見て三四郎を思いだしたわけを納得した。
この作品が出来たのが1943年3月であったこともわかったので、鳥取県立図書館でその年の3月以降の日本海新聞を調べたところ、同年5月6日(木)の紙面の広告を確認することができた。それによれば、この「東寶映画異色大作」は5月6日から12日までの一週間「本週は公休なし」で帝國館(戦後の第一映劇)において上映されたことがわかった。
この映画の原作が富田常雄の『姿三四郎』であり、紘道館は講道館、師範の矢野正五郎は嘉納治五郎、三四郎は当時、講道館四天王の一人と言われた西郷四郎であることは、いつしか知るようになっていた。
この小説を読んだことはないが、ブログを書くにあたって、ウェブを検索したところ、このあたりを詳しく書いているサイトがあった。やや古いサイトだがご紹介しておく。
http://www.iscb.net/mikio/9709/25/index.htm
2008年6月29日日曜日
2008年6月8日日曜日
毛利彰イラストレーション
毛利彰さんの絵の展覧会が1日で終わるというので、先月31日、久しぶりに青谷へ行った。
会場である【あおや郷土館】を訪れるのは初めだった。この日は土曜日だったが、高校総体の日で、近くの青谷高からときどき生徒たちの歓声が聞こえてきたが、車もめったに通らず、街路樹の梢からウグイスの鳴き声が聞こえてくるほどのどかであった。
展示されていたのは、学研の「歴史群像シリーズ」の表紙を飾った戦国武将たちの19点のイラストだった。若い頃の油絵などの展示も期待していたので、ちょっとがっかりした。
しかし、郷土館入り口の立て看にも「館蔵資料展 毛利彰 イラストレーション」と書かれており、かつて鳥取西高の玄関に飾られていた油絵などの記憶から自分が勝手に抱いていた期待であった。
この展示は4月1日より始まっていた。彼が亡くなったのは4月9日であったから、生前毛利さん自身が許可したものであったに違いない。
昨日(6月7日)の朝日新聞の【惜別】欄にこう書かれていた。
隣の展示室には、「因幡の源左(げんざ)」と呼ばれている妙好人、足利喜三郎(1842~1930)の深い阿弥陀信仰から出た語録を中心にした展示があり、あつい信仰心から出る、その言葉に改めてこころを打たれた。
会場である【あおや郷土館】を訪れるのは初めだった。この日は土曜日だったが、高校総体の日で、近くの青谷高からときどき生徒たちの歓声が聞こえてきたが、車もめったに通らず、街路樹の梢からウグイスの鳴き声が聞こえてくるほどのどかであった。
展示されていたのは、学研の「歴史群像シリーズ」の表紙を飾った戦国武将たちの19点のイラストだった。若い頃の油絵などの展示も期待していたので、ちょっとがっかりした。
しかし、郷土館入り口の立て看にも「館蔵資料展 毛利彰 イラストレーション」と書かれており、かつて鳥取西高の玄関に飾られていた油絵などの記憶から自分が勝手に抱いていた期待であった。
この展示は4月1日より始まっていた。彼が亡くなったのは4月9日であったから、生前毛利さん自身が許可したものであったに違いない。
昨日(6月7日)の朝日新聞の【惜別】欄にこう書かれていた。
「芸術という言葉が嫌いだ。銭湯の富士山を立派に描く人を尊敬する。自分の仕事はそういう仕事」と語った。注文を受けて売れる絵を描く。いずれは消える商業イラストをきちんと仕上げる。それを誇る職人だった。
隣の展示室には、「因幡の源左(げんざ)」と呼ばれている妙好人、足利喜三郎(1842~1930)の深い阿弥陀信仰から出た語録を中心にした展示があり、あつい信仰心から出る、その言葉に改めてこころを打たれた。
2008年6月2日月曜日
EverNote
Google に、ノートブックという便利なものがある。名前の通りノートとしてメモや文章をなどを書き込むことができる。
なにより便利なのは、ウェブ上の気に入ったサイトがあれば1回のクリックで全部をノートに取り込むことができる。むろん、必要な部分のみを切り取って取り込むこともできる。取り込んだものも自分の書いた文章も、すべてウェブ上に保存されているから、パソコンにファイルを作ったりして保存したり、バックアップを取ったりする必要もない。
ノートは何冊でも作ることができるし、一冊のノートをいくつものセクションにわけて内容を分類整理することもできる。
ただ、残念なことは、現在、このノートブックはインターネットにつながっていなければ使えないということだ(オフラインで使用できるのもそう遠くないだろうが)。
最近、同じような機能をもっている EverNote という便利なものがあることを知った。機能的にはGoogleノートブックとまったく同じといっていい。ただエヴァノートはオフラインで開いたり、書き込みしたりできるので便利だ。
EverNoteで、できることはたくさんあるが、エディタのように文章やメモを書き込んだり、ウェブ上の必要なページを取り込んだりすることができる。
写真01を見てください(写真はクリックすれば大きくなります)。左側の細長い部分が【カテゴリー】欄で各ページの内容の分類を表示(①とする)し、右側の下の部分が普通のエディタなどの新規作成ページにあたる(②とする)。右側上部が各ページのタイトル(③とする)である。
おもしろいのは、新規作成画面が、ちょうどトイレットペーパーを引き出すように一番下に出てくる。ということは一見、さまざまな内容のペーパーが数珠つながりになって不便のように思えるが、さにあらず。
写真02を見てください。②の上の部分にカーキ色のバーがあって、左に荷札のような絵がありますね。これをクリックすると、タグを付ける画面がポップアップする。タグは既成のものの選択も新規作成もでき、いくつでも付けられる。
その隣の錠の絵をクリックすると開いたり閉まったりする。閉めると保存した内容は変更できないが、空けると文字や図を消したり付け加えたり、いくらでも修正、変更が可能だ。
錠の右隣の×印をクリックするとその画面全体を消す(つまり廃棄する)ことができる。
だからこの巻紙は、①でタグを選択、クリックすれば(タグが複数あればそのどれを選んでクリックしても)、③にそのタグの付いているものの目次(タイトル)一覧が提示され、そこでタイトルをクリックすれば、②に、そのページ全体が表示される。
なお、②の上部のカーキ色のバーの右に□が上下に二つ並んでいるが、下の□をクリックすることによって、画面全体を表示したり折りたたんだりする。
最後に、一番便利な、サイトの記事の取り込みについて付言しておこう。たとえば、ウェッブ上のサイトを見ていてある部分の記事を取り込みたいとか、図や表や写真だけを取り込みたいときは、その部分を選択して右クリックすれば、ポップアップの中に「Add to EverNote 」という項目が出ているからそれをクリックすれば選択した部分だけが取り込まれる。
範囲を指定しないで画面上を右クリックすると、写真03のようなポップアップが出るから、「Yes」ボタンをクリックすればその画面のすべてを取り込んでしまう。
現在、新しいEvernote(noteのnが小文字)が出ていて、オンラインでエディタが使えたり、オフラインでEverNoteと同じことができるようになっているが、現状のままでいい、と思っている。
なにより便利なのは、ウェブ上の気に入ったサイトがあれば1回のクリックで全部をノートに取り込むことができる。むろん、必要な部分のみを切り取って取り込むこともできる。取り込んだものも自分の書いた文章も、すべてウェブ上に保存されているから、パソコンにファイルを作ったりして保存したり、バックアップを取ったりする必要もない。
ノートは何冊でも作ることができるし、一冊のノートをいくつものセクションにわけて内容を分類整理することもできる。
ただ、残念なことは、現在、このノートブックはインターネットにつながっていなければ使えないということだ(オフラインで使用できるのもそう遠くないだろうが)。
最近、同じような機能をもっている EverNote という便利なものがあることを知った。機能的にはGoogleノートブックとまったく同じといっていい。ただエヴァノートはオフラインで開いたり、書き込みしたりできるので便利だ。
EverNoteで、できることはたくさんあるが、エディタのように文章やメモを書き込んだり、ウェブ上の必要なページを取り込んだりすることができる。
写真01を見てください(写真はクリックすれば大きくなります)。左側の細長い部分が【カテゴリー】欄で各ページの内容の分類を表示(①とする)し、右側の下の部分が普通のエディタなどの新規作成ページにあたる(②とする)。右側上部が各ページのタイトル(③とする)である。
おもしろいのは、新規作成画面が、ちょうどトイレットペーパーを引き出すように一番下に出てくる。ということは一見、さまざまな内容のペーパーが数珠つながりになって不便のように思えるが、さにあらず。
写真02を見てください。②の上の部分にカーキ色のバーがあって、左に荷札のような絵がありますね。これをクリックすると、タグを付ける画面がポップアップする。タグは既成のものの選択も新規作成もでき、いくつでも付けられる。
その隣の錠の絵をクリックすると開いたり閉まったりする。閉めると保存した内容は変更できないが、空けると文字や図を消したり付け加えたり、いくらでも修正、変更が可能だ。
錠の右隣の×印をクリックするとその画面全体を消す(つまり廃棄する)ことができる。
だからこの巻紙は、①でタグを選択、クリックすれば(タグが複数あればそのどれを選んでクリックしても)、③にそのタグの付いているものの目次(タイトル)一覧が提示され、そこでタイトルをクリックすれば、②に、そのページ全体が表示される。
なお、②の上部のカーキ色のバーの右に□が上下に二つ並んでいるが、下の□をクリックすることによって、画面全体を表示したり折りたたんだりする。
最後に、一番便利な、サイトの記事の取り込みについて付言しておこう。たとえば、ウェッブ上のサイトを見ていてある部分の記事を取り込みたいとか、図や表や写真だけを取り込みたいときは、その部分を選択して右クリックすれば、ポップアップの中に「Add to EverNote 」という項目が出ているからそれをクリックすれば選択した部分だけが取り込まれる。
範囲を指定しないで画面上を右クリックすると、写真03のようなポップアップが出るから、「Yes」ボタンをクリックすればその画面のすべてを取り込んでしまう。
写真03
現在、新しいEvernote(noteのnが小文字)が出ていて、オンラインでエディタが使えたり、オフラインでEverNoteと同じことができるようになっているが、現状のままでいい、と思っている。
2008年6月1日日曜日
便利なO's Editor
いま、ブログの原稿を書いたりするのに重宝しているのが O's Editor だ。
現在 O's Editor2 ver 2.50(Vista対応ベータ版)が入手できる。2,000円のシェアウェアだが、30日間無料試用できる。 http://ospage.jp/
下の写真画面の下部でご覧になるように、9種類の画面で仕事ができる。ここでは、【標準スタイル】【黒板】【読書】の三つのスタイルをご紹介した。
現在、目に優しい【黒板】を愛用している。(下の写真はクリックすれば大きくなります。)
現在 O's Editor2 ver 2.50(Vista対応ベータ版)が入手できる。2,000円のシェアウェアだが、30日間無料試用できる。 http://ospage.jp/
下の写真画面の下部でご覧になるように、9種類の画面で仕事ができる。ここでは、【標準スタイル】【黒板】【読書】の三つのスタイルをご紹介した。
現在、目に優しい【黒板】を愛用している。(下の写真はクリックすれば大きくなります。)
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